2024年05月08日( 水 )

お酒も食事も楽しめるダイニングキッチン「風のふくおか」

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

ダイニングキッチン「風のふくおか」

 福岡市中央区六本松にある、ダイニングキッチン「風のふくおか」。美味しい料理とお酒が楽しめることで、地元の人気が高い。木を基調とした落ち着いた雰囲気で、カウンターとテーブル合わせて25席ほどのスペース。オーナーの鶴原夫妻が2人で営んでいる。3年前から店内を禁煙にし、絵本などを置いて小さな子供連れの家族でも安心して食事を楽しめる空間とした。

 マスターの鶴原潤氏は、伝説のライブ喫茶「照和」の元チーフで、自身もフォークシンガー。鶴原氏は、日本のフォークグループ「ザ・ブロードサイド・フォー」の影響を受け、中学生時代に音楽に目覚めた。氏の青年時代、若者の間ではフォークやロックが流行り、学生たちは弾き語りやグループを組んで音楽に興じていた。鶴原氏は「テキサス決死隊」というバンドでボーカル兼ギターを担当していたが、音楽を生活の糧とする夢は持たず、料理人の道を歩む。1970年に中村調理師専門学校を卒業。大手のホテルに就職が決まっていたが、厳しい修業は性格的に合わないと自らその進路を閉ざし、「照和」でアルバイトを始めた。「照和」は、福岡市中央区天神にあるライブ・ステージを備えた喫茶店。チューリップ、井上陽水、海援隊、長渕剛など福岡を代表する有名アーティストが、アマチュア時代にライブを行っていたことから今も「伝説」と称される。

「風のふくおか」マスター 鶴原 潤 氏

 鶴原氏がチーフを務めていた頃の「照和」は、チューリップと海援隊が二大勢力だったという。お嬢サマ系の女子に人気があり黄色い声援を浴びていたのがチューリップ。硬派な男子やイモ系姉ちゃんに人気があったのが海援隊。2つのバンドは、共に72年に上京しメジャーデビューを果たす。
 「照和」を離れた鶴原氏は、76年に天神の西通りにダイニングバー「じゃがいも畑」をオープンした。ライブスペースを設けた店舗は、フォーク仲間が集う憩いのスペースとなり、海援隊のメンバー、特に武田鉄矢氏が、博多にやって来た時には必ず立ち寄るお店として知られていた。しかし、諸事情により2001年に店じまいとなる。その後、鶴原氏は縁あって神戸市に、同じく「じゃがいも畑」で店舗を構えていたが、やはり故郷に戻りたいと帰福。08年、六本松に「風のふくおか」をオープンしたのである。

 「風のふくおか」という店名は、鶴原氏の音楽の先輩である井上良介氏が作詞作曲したラブソングから名付けた。井上氏は、福岡でフォークソングムーブメントに先駆け、海援隊に楽曲提供を行っていた人物。「最近、70年代の『照和』の写真が、次々とやってきます。当時の常連さんたちが、思い出を整理しておられるのです。その歴史を語り継ぐことが、私たちの役目かもしれません」と、妻の香代子さん。お願いすれば古い時代の「照和」のアルバムを見せてもらえる。
 「風のふくおか」の定番メニューは、「じゃがいも畑」時代のメニューを継承したポテト料理やパスタ料理。また、関西出身の妻の香代子さんが作るたこ焼きも、お持ち帰りが出るほどの人気だ。お酒を楽しむために、家族で食事するためにと、どちらでも対応できるダイニングキッチン「風のふくおか」。ときどき貸し切りでライブなどが行われるため、お店に行く場合は電話で予約することをお薦めする。

【村重 珠実】


風のふくおか
所在地:福岡市中央区六本松2-2-12
営業時間:(平日)午後5時~午後11時(L.O.午後10時30分)
     (日曜)午後4時~午後10時(L.O.午後9時30分)
定休日:月曜
TEL:092-714-0262

 

関連記事