2024年05月02日( 木 )

ユニー・ファミリーマートは、オウンゴール型M&Aだった!(後)

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 ファミマとユニーGHDの統合交渉は、GMSのユニーの扱いで難航した。ファミマが欲しいのはコンビニだけで、GMSではなかった。もともとサークルK・サンクスから合併を持ちかけられたもので、親会社のユニーGHDからではなかった。ユニーGHDは、コンビニだけいいとこ取りされることを拒否。コンビニとGMSの抱きあわせての合併を主張した。最終的にユニーの40店舗を閉鎖すること折り合いがついた。

 ファミマは、GMSが不振なことはわかっていたが、合併してみると、業績の悪化は想定をはるかに超えていた。そのため、ドンキと組み、ユニーのドンキ化を進めることにしたわけだ。株式市場では、「将来、ドンキがユニーを買収する布石」と受け取った。
 業績不振はGMSだけではなかった。コンビニも極度な業績不振に陥っていた。

セブンが独走、ファミマは一人負け

 2017年10月11日、ユニー・ファミマはファミマへの統一を進めるサークルKとサンクスの店舗295店を追加で閉めると発表した。これまで不採算の約370店を閉めるとしていたが、不採算店の整理を加速させる。ファミマに転換せず閉める店舗は来年2月末までに計660店超になる。

 来年8月までにサークルKとサンクスの5000店規模をファミマの看板に統一する方針だ。しかし、ファミマとサークルK・サンクスは絶不調だ。

 コンビニは首位のセブン-イレブンの一人勝ちが続く。セブン-イレブンの9月の既存店売上高は前年同月比1.3%増と、62カ月連続の増収を記録した。3位のローソンの既存店売上は2.1%増だ。

 これに対して、ファミマの9月の既存店日商は2.0%減。17年3月から9月までの7カ月に、前年同月を上回ったのは5月の1回のみで、後は前年割れ。客数は3.5%減で、4月から6カ月連続の前年を下回った。

 サークルK・サンクスに至っては、惨憺たる成績だ。9月の既存店日商は4.9%減。今期に入って前年を上回ったことは1回もない。深刻なのは客数の落ち込み。9月は8.9%減。これまた7カ月連続の前年割れだ。

 その結果、サークルK・サンクスの9月のチェーン全売上高は前年比45.2%減と、ほぼ半減した。ファミマに看板を替えて、果して客足が戻り、売上が回復するのか。かなり厳しいと言わざるを得ない。

 GMSのユニーだけでなく、コンビニのサークルK・サンクスの買収も失敗した。ユニー・ファミマはライバルだけに得点を与えるオウンゴール型M&Aだった。

(了)
【森村 和男】

 
(前)

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