2022年06月30日( 木 )
by データ・マックス

韓国で人気の日本商品とは?~歴史認識と購買活動(前)

日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 筆者が1981年に日本に来て最初に買ったものは、実はソニーのウォークマンであった。ウォークマンの人気はすごく、ソニーを世界的なブランドにした商品である。アメリカで生まれ育った韓国の知り合いの話によると、アメリカの小学校では、優秀な成績を上げたら、その褒美としてソニーのウォークマンをプレゼントしたという。それで、米国人のなかにはソニーがアメリカのブランドだと錯覚している人もいるようだ。とにかく、筆者が奨学金をもらった時に、真っ先に購入したのはウォークマンであった。ウォークマンを買って、イヤホンで音楽を聴いた時の感動は今でも忘れられない。商品を所有して、あれほど感動したのは、ウォークマン以外にあまり記憶にない。

 もう一つその当時韓国人に人気があった日本商品は、象印の炊飯器であった。私は親戚などから頼まれて、象印の炊飯器を購入し、何回も韓国に持ち帰った。それから1990年代の半ばに日本に駐在するようになって、私は知り合いの韓国人家庭を訪問する機会が多くあった。その当時各家庭には約束でもしたかのように皆ソニーのテレビを持っていた。日本の電子産業が盛んな時代の話である。

 しかし、今は状況が様変わりしている。時代がアナログからデジタルに移ったタイミングで、韓国企業は時代の変化を先取りし、日本のお株を奪ってしまった。今は日本で炊飯器を買っていく韓国人は一人もいない。日本と韓国はお米が違っていて、日本のお米のほうが水分が多いため、日本の炊飯器でご飯を炊くと、あまりおいしくならないからだ。今は中国人が韓国で炊飯器を買って、持ち帰る風景が一般的である。それからテレビなども世界市場の1,2位はサムスンとLGになっている。日本にいると、量販店などでシャープのAQUOSしか見かけないので、世界は日本と同じ状況であろうと思いがちだが、実はサムスンは世界テレビ市場の首位の座を10年以上前からキープしている。サムスンとシャープの世界市場でのシェアは5倍くらいの開きがあって、もう勝負はついているといっても過言ではない。時代の移り変わりにともに、売れている商品にも変化が現れている。今回は最近韓国で売れている日本商品を見てみることにしよう。

 私は良くこのような質問を受けたことがある。「日韓関係が冷え込んでいて、このような時期に韓国に行っても大丈夫でしょうか」。もしかして、韓国の道端で反日の人にあって殴られることになるのではないかという心配であろう。

 今までそのような話を聞いたこともないし、私はマスコミの報道と一般市民の感情とは距離があると説明していた。日本人からすれば理解しがたいことかもしれないが、心から日本を憎んで、その感情を露にする人は韓国ではむしろ少数派ではないかと思う。もちろん、何かの具体的な理由があって、日本は大嫌いという人がいるかもしれない。しかし、私の周りには、そのような人はあまりいない。それから心の中で日本は許せないと思っていても、それを自分の行動に移している人はそれほど多くない。幸か不幸かわからないが、買い物する際に、日本製なので買わないようにしようという人も少ない。歴史的に許せないことと、良いものを買うことは別であると考えている韓国人が多いようだ。特に、自分でつらい経験をしたわけではなく、実際には旅行、事業などで密接に日本に接する機会が多い若者にとっては、歴史教育より現実が優先するのではないだろうか。さらに、最近はインターネットが発達し、情報交換や交流が頻繁になっているので、それも購買行動に影響しているようだ。

(つづく)

 
(後)

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