2024年04月24日( 水 )

「人材不足」「働き方改革」、中小企業はどう乗り越える~社会保険労務士法人アドバンス(中)

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 「働き方改革関連法案」に向けた動きが加速しつつある。大企業を中心に、労働時間削減に向けた取り組みなどが開始されており、今後は中小企業もこの波を受け、労働環境の是正に向けた動きを余儀なくされる。
 福岡市では、今年4月1日から「ふくおか『働き方改革』推進企業認定事業」を開始。企業側に、働き方改革へのいち早い取り組みを促す。一方で、改革への障壁に頭を悩ませる経営者の数も多い。
 中小企業の経営者たちは、迫る「働き方改革関連法案」に向け、どう取り組んでいくべきか。「ふくおか『働き方改革』推進企業認定事業」にも認定され、労働環境改善のスペシャリストとして、多くの企業に改善策を提示する、社会保険労務士法人アドバンスの伴芳夫代表に伺った。

中小企業こそ人事問題を解決しやすい

 ――長く福岡の地で培ってこられた信用と、若い人独特の柔軟さが評価されているのですね。
 ところで昨今、人材不足問題や若手の教育、「働き方改革」への対応など、人事関連の相談は増加しているのではないでしょうか。

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 伴 そうですね、増加傾向にあります。
 まず人材不足でいくと、対応法は大きくわけて2つ。「新規採用」と「従業員の定着」です。労働者人口が少なくなるなか、よりよい人材確保のためには、よりよい労働環境を整えることが重要となります。

 近年、若者が職場に求める条件として「高い給与」よりも、「働きやすさ」を重視する傾向が強まっています。このため、労働環境を整えることは、求職者への強いアピールポイントとなります。また、働きやすい環境は、採用だけでなく、安定した人材の定着にもつながります。「『働きやすい環境』をどのようにしてつくるか」をご提案することが、我々の役目となります。

 企業ごとの就労環境改善の一環として我々が提供しているのが、「経営幹部研修」や「コミュニケーション研修」などです。労務に関する問題の根底には、社内間のコミュニケーション不足が存在しているケースが多々あります。企業ごとにあった研修を行い、社内の活性化を図ることで、労務問題を未然に防ぎ、働きやすい環境をつくることにもつながります。

 ――若者との考え方やモチベーションの違いなど、人材育成に悩む経営者も非常に多くいらっしゃいます。

 伴 人材教育・育成に関する相談やご依頼も増加しています。「最近の若者は」という声も耳にしますが、私は一概に若い人の責任ばかりではないと考えております。先ほどのリーダー研修にも通じることですが、指導する立場の人間の問題や、コミュニケーション不足も起因しています。若手社員と企業、双方に問題がある場合がほとんどなのです。

 とはいえ、若者のメンタルヘルスの弱体化については否めません。統計で見ると、ひと昔前までは、メンタル不調者は30代に多く見られていましたが、近年は20代のメンタル不調者が目立つようになりました。メンタル不調者の増加は20代に限った話ではなく、40代も増加傾向にあります。社会的背景も内包しており、一足飛びに解決できる問題でないことはたしかです。

 ――労務問題は、社労士だけでなく、弁護士でも取り扱っている事務所が散見されます。クライアントの需要が伸びている分、競合も増えているということでしょうか。

 伴 たしかに、労務問題を得意とされる弁護士の先生方や、顧客フォローの一環として取り扱う事務所は多いです。しかし、社労士が労働保険や社会保険といった実務を請け負うことに対し、弁護士は労務問題が発生した時の処理を行うのが一般的です。さらに、クライアントからすると、社労士は気軽に相談しやすいという面があります。わかりやすくいうと、社労士がお客さまにとって身近な内科医やクリニック、主治医といった立ち位置。対する弁護士は外科医や大学病院といったところでしょうか。そういった意味では、一口に労務問題の取り扱いと言っても、単純に競合するというわけではないと考えています。

(つづく)
【中尾 眞幸】

<COMPANY INFORMATION>
社会保険労務士法人アドバンス、行政書士法人アドバンス
代 表:伴 芳夫
所在地:福岡市中央区舞鶴2-2-11 富士ビル赤阪8F
創 業:1986年
URL:http://www.van.gr.jp/

 
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