2024年03月29日( 金 )

シシリー島便り・日本人ガイド、神島えり奈氏の現地レポート~資格取得に挑む(後)

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 一番最近取得した資格は、ソムリエワイン資格で2017年の2月に取得した。もともとお酒を楽しく飲むのが好きだったが、仕事柄さらに詳しく勉強したい、という思いが強くなったからだ。

 パレルモ市で週に1、2回開かれるソムリエ講座に通うようになった。第1講座は2015年10月から始まった。講座の時間帯は午後9時から午後11時までと仕事をしている人でも通いやすいように考慮されていた。しかし、1日の終わりで疲れもピークになる時間帯でもあり、テイスティングのワインが体内に入ると、つい眠気に襲われそうになったものだ。

 第1講座では、全般的な基礎知識を学ぶ。ワインだけではなく、お酒すべて、ビールや蒸留酒、リキュールなどについて学んだ。そこに歴史や地理なども絡んでくる。土壌の成分、ブドウの成分内容など、これまで使う機会がなかったイタリア語が次々登場してきた。

 第1講座は翌年の1月ごろに終わり、希望者は第2講座へと進むことができる。第2講座に進むにあたって各自のレベルを測るテストがあるが、きちんと勉強しておけば決して難しくない。第1講座の受講者は90人超。大半はレストラン、バーなどの経営者だったが、中には医者、弁護士、公務員などもいた。目指すのはソムリエ資格ということで、みな同志だった。

 第2講座に進んだのは、およそ70人。第2講座ではイタリア国内および世界各地のワインやお酒について学ぶ。相当な知識量が必要となり、強い意志が必要で、挫折する人も多かった。第3講座まで進むと、受講者数は50人程度にまで減っていた。

 夏休み中、受講者のなかでも気の合う者同士10人ほどで集まり、ワインを飲み比べたり、筆記試験の勉強をしたりした。1人で、たくさんの種類のワインを飲んで勉強するのはコストがかかる。グループで勉強すれば、多くの種類を飲めるし、仲間同士で励まし合えるので一石二鳥なのだ。

 試験はまず筆記試験からで、選択問題や記述問題など、さまざまだ。鉛筆の使用は禁止で、ボールペンのみ利用可能。記述問題などを書き間違えると、解答用紙がきれいに仕上がらない。ナポリからきた試験官は白い歯が笑顔に映えるイケメンだったが、テイスティングの能力試験の際には厳しい質問をあびせてきた。合格通知は、その場で教えてくれた。

 試験は誰もが緊張するものだと思うが、何にも変え難い感動が待っているのも事実だ。さて、次は何の試験を受けてみようか。

(了)

<プロフィール>
神島 えり奈(かみしま・えりな)
2000年上智大学外国語学部ポルトガル語学科を卒業後、東京の旅行会社に就職。約2年半勤めたのち同社を退職、単身イタリアへ。2003年7月、シシリー島パレルモの旅行会社に就職、現在に至る。

(中)

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