2024年03月29日( 金 )

九州地銀の2019年3月期(第1四半期)決算を検証する(4)

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 【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の2018年6月期(第1四半期)決算の当期純利益順位表である。

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<この表から見えるもの
◆九州地銀(18行)の2018年6月期の当期純利益は、前年比▲7億円の431億円(▲1.7%)となった。日銀のマイナス金利政策の影響を受けているため、大きく減少するのではと思われていたが、譲渡性預金を減らしたり、無駄な経費の節減に努めたりした結果、小幅な減少だった。
 ただ、よく見ると九州地銀18行のうち、前年と比較して増益は福岡銀行を含め6行で、額は別にして前年比マイナスは12行となっている。収益的には厳しい状況にあることが読み取れる。増益合計43億円のうち、福岡銀行が34億円で約8割近くを占めている。

◆当期純利益のトップは福岡銀行で、前期比+34億3,500万円の131億円(前期比35.3%増)と大幅に増加しており、九州地銀18行の当期純利益合計431億円の約30%を1行で占めている。

◆第2位は西日本シティ銀行で69億円(前期比▲2,000万円)とわずかに減益となっている。3位は肥後銀行で47億円(前期比▲7億300万円)。4位は鹿児島銀行で37億円(前期比▲7億8,200万円)。5位の大分銀行は31億円(前期比▲7億6,600万円)と、この4行はいずれも前期比マイナスとなっている。6位は宮崎銀行で前期比+3億2,500万円の31億円。宮崎銀行までの上位6行が当期純利益30億円以上の銀行である。

◆7位は親和銀行。昨年は25億円だったが、今期は前期比▲9億6,700万円の16億円。合併を予定している8位の十八銀行は、前期比▲8億1,200万円で11億円となっている。18年6月期までの3カ月間で貸出金を大幅に増加させた親和銀行。18年9月期(中間)で、その効果がどのようなかたちで現れるかを見守ることにしたい。
・9位は佐賀銀行で前期比▲4億6,200万円の11億円。10位は熊本銀行で前期比▲1億500万円の10億円となっている。ここまでが当期利益10億円以上の銀行となっている。

◆11位以下で目につくのは佐賀共栄銀行で前期比+1億1,900万円の2億9,700万円(66.9%増)と大幅な増益となっている。一方減益組では福岡中央銀行が前期比▲1億2,300万円の9,300万円で56.9%の減収となっている。
・最終18位の長崎銀行も、前期比▲3,700万円の3,500万円で51.4%の減収となっている。来年4月に十八銀行がふくおかFGと経営統合し、2020年4月に十八銀行と親和銀行が合併することになっているが、その対抗勢力としては厳しい収益力ではないだろうか。

~十八銀行とふくおかFGの経営統合の影響について~
 【表2】を見ていただきたい。九州のFG・FHの当期純利益順位表である。

<この表から見えるもの>
◆第1位はふくおかFGで前期比+23億円の157億円(17.6%増)。傘下の親和銀行と熊本銀行は前期比マイナスとなっているものの、福岡銀行が大きくカバーしているのがわかる。
・ふくおかFGの当期純利益は九州地銀18行の36.5%を占めており、十八銀行の計数(連結)を単純に加えるとそのシェアは39.2%となる。2位の九州FGのシェア19.7%で3位の西日本FHのシェア16.1%を合わせても35.8%で、ふくおかFGより少ないのがわかる。十八銀行がふくおかFGの傘下に入ると、その差はさらに広がることになる。この数字を見る限り、1強2弱が深刻なことがわかる。十八銀行とふくおかFGの経営統合が引き金となって、今後、新しい枠組みを模索する動きが出てくることが予想される。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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