2024年04月20日( 土 )

九州地銀の2019年3月期(第1四半期)決算を検証する(5)

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 【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の2019年3月期(通期)決算の当期純利益(予想)順位表である。

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<この表から見えるもの>
~2018年6月期について~

◆九州地銀18行の2018年6月期の当期純利益は431億円で、通期目標の1,273億円に対する達成率は33.9%となっている。通期の1/4期の25%を達成している銀行は18行中16行あり、予想を上回る結果だったようだ。

◆ただよく見ると、わずか3カ月経った第1四半期で通期目標を達成している銀行が2行もある。
・豊和銀行は19/3月期(通期)の当期純利益目標4億6,000万円に対して、18年6月期の実績は9億1,600万円。達成率は、ほぼ2倍となっているが変更はしていない。処理すべき課題が多いものと推測される。
・佐賀共栄銀行も通期目標2億6,000万円を上回る2億9,700万円となっているが、豊和銀行と同様に予報の修正はしていない。

◆一方、達成率が25%を下回っているのは福岡中央銀行と長崎銀行の2行。福岡中央銀行の当期純利益は9,300万円で達成率18.6%。長崎銀行は3,500万円で達成率は20.6%となっている。最終目標を達成するにはかなりの努力を求められることになりそうだ。

~2019年3月期(通期)予想について~
◆当期純利益の通期目標の第1位は福岡銀行で前期比+74億7,200万円の479億円となっている。2位は西日本シティ銀行で前期比▲131億7,100万円の185億円となっている。前期の6割しか予想しておらず、福岡銀行との差は約300億円近くとなっており、収益力の格差は大きく広がっていくように見える。

◆第3位は肥後銀行で130億円。4位は鹿児島銀行で120億円。九州FGの単体合計の当期純利益目標は250億円。西日本FG(西日本シティ銀行・長崎銀行)の単体合計は186.7億円。一方、ふくおかFG(福岡銀行・親和銀行・熊本銀行)の単体合計は561億円。来年4月に十八銀行と経営統合する予定になっており、十八銀行の当期純利益(連結)40億円を加えると601億円となる。ふくおかFGのなかでも福岡銀行の強さが目立っている。

<まとめ>
 日銀のマイナス金利政策の影響を受けて九州地銀(18行)の収益環境は厳しくなっている。当期純利益を前期比プラス予想している銀行は5行であり、残り13行は前期比マイナス予想となっている。金融グループにおいても、かつてふくおかFG・西日本FH・九州FGは3つ巴の戦いをしていたが、【表2】から見えるように、今や1強2弱体制が鮮明になってきているようだ。

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(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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