評価される 福岡のポテンシャル
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2018年09月03日 15:43

評価される 福岡のポテンシャル

続々進出する新進気鋭の企業

 近年、福岡市にIT系企業が続々と進出してきている。今年1月には、関東最大級のIT人材支援企業であるレバテック(株)(東京都渋谷区)が、福岡市中央区のアクロス福岡に福岡支店を開設した。東京、大阪に次いで3拠点目。福岡進出の狙いとして、同社は「福岡市では2014年5月に国家戦略特区『グローバル創業・雇用創出特区』に選出されて以来、スタートアップ支援に注力しています。都心へのアクセスの良さやオフィスコストの低さも相まって、福岡市に活動拠点を置くスタートアップ企業やIT企業が増え、エンジニアやクリエイターといったIT人材の需要が急増しています。そこでIT人材の転職やフリーランス参画を支援する弊社では、福岡支店を開設することによって、IT人材とスタートアップ、IT企業をつなぎ、福岡経済の発展に貢献します」としている。

 2月には、スマートフォン向けゲーム・アプリなどの企画・開発・運営を行う総合IT企業の(株)エイチーム(愛知県名古屋市)が、博多駅東に福岡オフィスを開所後、6月には博多駅前に移転した。同オフィスは、本社を置く名古屋市以外では、大阪、東京に次いで国内3カ所目の開発拠点となる。

 3月には、モバイルゲーム事業などを手がける(株)アカツキ(東京都品川区)が、子会社となる(株)アカツキ福岡(福岡市中央区)を設立した。同社では17年3月に福岡オフィスを開設していたが、今後、よりスピード感をもって組織拡大と事業推進をするため、福岡オフィスを子会社化したもの。「これまで以上に福岡の地に深く根付き、福岡、九州、世界に、もっとワクワクをもたらす事業を展開していきます」としている。

 6月には、家計簿アプリや会計ソフトを提供する(株)マネーフォワード(東京都港区)が、16年1月に開設していた福岡支店を移転・拡大。さらに、同社第2のプロダクト開発拠点も設立した。また同月、飲食・フード産業特化の求人サイト「クックビズ」を運営するクックビズ(株)(大阪市北区)も、福岡市中央区天神にオフィスを開設した。飲食店の数が多く、インバウンド旅行客も多く訪れるなど、今後も飲食業界の活況が予想される一方で、業界での人材不足が深刻化する福岡において、営業面・マッチング面の双方からサービスを提供していくことを狙いとしている。

 それ以外にも17年には、クラウド名刺管理のSansan(株)(東京都渋谷区)や、クラウド・モバイル・ビッグデータに特化したコンサルティングなどを手がけるクラスメソッド(株)(東京都千代田区)、インターネットインフラサービスを提供するさくらインターネット(株)(大阪市北区)、フリマアプリのサービスを運営する(株)メルカリ(東京都港区)、クラウドソーシング最大手の(株)クラウドワークス(東京都渋谷区)など、数々の新進気鋭のIT系企業が福岡進出をはたしている。

 こうした県外エリア、とくに大都市圏からの福岡への企業進出を後押しする要因とは、いったい何だろうか。その1つは、福岡市の都市としての潜在力―“ポテンシャル”といえるだろう。

第4の都市圏としての成長に期待

 17年7月に公表された「成長可能性都市ランキング」では、福岡市がすべての項目で10位以内にランクインするとともに、「ポテンシャル」と「都市の魅力」の項目では1位を獲得している。同調査は、(株)野村総合研究所(NRI)が、都市圏の人口規模などを考慮して選定した国内100都市を対象として、今後の成長性を左右する「産業創発力」の現状や将来のポテンシャルを独自に分析。都市の産業創発力を、「多様性を受け入れる風土」「創業・イノベーションを促す取り組み」など6つの視点から131の指標を用いて評価し、ランキング化されているものだ。

 このなかで福岡市は、「ポテンシャルランキング」と「産業創発力の6つの視点別ランキング」内の「都市の魅力」の2つの項目で1位を獲得した。うち「ポテンシャルランキング」では、「ビジネス環境は整っているが独自の産業が少なく、産業の伸び代が大きい」「住民は多様性に対する寛容度が非常に高く、異質なものを受け入れ、新しいことに挑戦する気質をもっている」ことなどが高く評価された。また、「都市の魅力」では、「よそ者に対する寛容度が高く、高齢者やお1人さま、外国人など、すべてに対して開かれた雰囲気がある」「他の大都市と比べて物価や住宅コストも安い」「空港や新幹線など交通も非常に充実している」ことなどが評価された。

 総合ランキングでは、東京都特別区部に次いで惜しくも2位とはなったものの、全12カテゴリーのランキングのすべてで10位以内にランクインしたのは福岡市のみ。同調査でNRIは福岡市に対して、「多様性に対する許容度が高く、自由で起業家精神にあふれている都市といえる。市民の幸福度が高く、まちへの愛着が強いのも特徴。空港や港湾、新幹線駅へのアクセスが良好で、国際会議も多く、ビジネス環境が整っている。一方で、環境はあるものの、大企業や外資系企業の立地が少ない。ポテンシャルランクが1位であり、潜在的な力をもっているので、アジアに近い立地を生かした国際的な産業形成が期待される」と総評している。

 こうして見る限り、福岡市は産業創発力を構成するすべての要素をバランス良く満たしているようだ。ビジネスのみならず、都市の魅力や寛容度の面でも高い評価を得ており、日本の都市のなかでもスタートアップを生み出す素地が整っている都市の1つといえよう。以前の福岡市は、産業集積の乏しい支店経済の都市という性格が強かったが、経済を牽引する産業が製造業からIT産業やサービス業に変わりつつあるなかで、今後は東京・大阪・名古屋につぐ第4の都市圏として成長していくことが期待される。

 もちろん、そうした福岡市の都市力を支える根底にあるのは“人”の存在だ。今年8月1日時点で、福岡市の推計人口は157万7,973人。平成が始まる直前となる1989年1月1日時点での人口は121万1,694人であり、この30年弱の間に、福岡市の人口は35万人以上も増えている計算になる。ほかに、近年の人口増加率や、総人口に占める若者(10~20代)の比率も高く、福岡市周辺自治体も含めた都市圏全域まで広げると、その勢いには目を見張るものがある。

 福岡市においては、こうした拡大を続ける人口に下支えされることで、市場の拡大も含めた経済的な活況が生み出され、それがさらに新たな人を呼び寄せるという好循環が生まれている。そしてそれこそが、他エリアからの福岡進出を後押しする、大きな要因だといえるだろう。

【坂田 憲治】

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・レバテック(株)

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