2024年04月30日( 火 )

高い技術力を生かしコンプライアンスを実現する鉄筋溶接技術を開発(後)

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(株)アクティス

「アクティス継手工法3CW」

▲鉄筋継手研究会(17年11月)

 同社が生み出した新技術、高強度鉄筋専用継手「アクティス継手工法3CW」は、(一財)日本建築センターと(公社)日本鉄筋継手協会のWスタンダードを実現し年々高層化する建築工事の継手として高い注目度を浴びている。「アクティス継手工法3CW」は、機械式継手と溶接継手の利点を生かした日本初の継手で、現存の鉄筋継手では困難とされる高強度鉄筋の良好な継手を可能とした鉄筋継手である。現場施工は、棒鋼同士の外観形状が包み込みこむようなかたちをしたエンクローズ工法を採用し、高品質な溶接継手を実現。熟練な作業員しか取り扱えない施工技術ではなく、「アクティス継手工法3CW」を用いることによって溶接技術者の技量のバラつきをなくし、一定以上の施工能力で高品質を確保する狙いもある。

 また、現代の強度が必要とされる建物に対して採用が増加している高強度鉄筋(SD490)を安心・安全に接合する継手だけに高品質・高施工性・コスト圧縮と3つの要求に応える次世代の継手といえる。さらに、同社が提唱する絶対品質の一環として取り組んだ鉄道のレール溶接継手も手がけ、東京メトロや小田急電鉄、新幹線などが採用。
 福岡では、同社の継手技術が福岡タワー、福岡ドーム(現・福岡ヤフオク!ドーム)、レベルファイブスタジアム、ホテルレオパレス博多などや、地元の教育施設、物流倉庫などでも採用されている。

研究会を年2回開催

▲研究会では継手の実例などを展示

 マンションや商業ビルなど、鉄筋コンクリートを有する現代建築物に欠かせない鉄筋を継ぐ方法は、「重ね継手」「ガス圧接継手」「溶接継手」「機械式継手」などがある。歴史がある工法の「重ね継手」を祖とする継手そのものは、用途に合わせてさまざまな新工法用に、次々と開発され、進化している。反面、設計・施工段階や品質管理において、種類が多岐に渡り過ぎていることが問題視されている。急速に進化する鉄筋継手に対して、設計や品質管理が追いつかなくなってきたのだ。しかも、オンリーワンの技術をもつ会社は、新技術の受け入れや情報収集に疎くなっている傾向がある。

 情報収集と勉強による知識拡大を必要とされる業種になると予測していた河村社長の耳に、日本鉄筋継手協会が2009年秋に「鉄筋継手工事標準仕様書」の大幅な改定を行うという情報が入った。「このままでは取り残されてしまう」という危機感から、継手に関する情報共有と理解に向けての研究会を発足。現在は、年2回の「基礎編」と「応用編」に分けて開催。中核となる同社は鉄筋継手研究会代表事務局として運営を手がける。

 同社がもつ高い技術力と応用力。その力は次の世代に承継され同社の大きな力となっている。河村社長らが開発した「アクティス継手工法3CW」はその技術力の結晶であり、技術で生きる企業として新たな可能性を切り拓いたといえる。

(了)

【道山 憲一】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:河村 貴夫
所在地:福岡県大野城市仲畑4-2-38
設 立:1977年2月
資本金:1,000万円
売上高:(18/3)4億8,000万円

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