2024年03月29日( 金 )

都心部の強さと城南区の躍進 4~7月のマンション供給状況

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 福岡市の7区それぞれのエリアで、今年4~7月に市に届けられた建築確認申請書を基に、福岡市内の開発状況を集計した。そこから見えてきたのは、都心部の強さと意外なエリアの躍進だった。

マンション需要も満たす博多区

 福岡市で新設予定の物件のうち、マンションが最も多いエリアは同数で博多区と南区だった。エリアごとの計画棟数は、東区15、博多区21、中央区20、南区21、城南区8、早良区4、西区6となっている。

 博多区では、ホテルの新設が目立っている。既存ホテルの多くが客室稼働率90%以上という盛況ぶり(関係者談)で、受験シーズンや人気アーティストのライブ開催ともなれば、瞬く間にホテルは満室状態になる。さらに、福岡市は国際会議の開催が多く、外国人向けにもビジネスホテルの需要が一定以上見込めるエリア。これらの理由から、東京・大阪・静岡など、県外から複数の企業が福岡の玄関口「博多」にホテル需要を見出し、自社ブランドホテルを次々と建設している。

 マンション用地を見つけるのは難しいと思われるこの状況下で、福岡市内7区でトップをいく21棟の計画を擁する博多。エリアの持つ“ブランド力”を、改めて示した格好だ。

▲2018年4月~7月標識設置分より木造除くマンション合計値

店舗から店舗付きマンションへ

 マンションの新設予定棟数で、トップの博多・南区と僅差で2位となった中央区。数ではおよばなかったものの、今後建設が計画されている物件には、興味を引かれるものが複数件ある。

 中央区大手門3丁目、簀子公園側にある(有)太田佛具店は、店舗から店舗付きマンションへと生まれ変わる。福岡市地下鉄・空港線「大濠公園駅」から徒歩5分程度の場所で、住宅需要は相応に見込まれる好立地。店舗としての機能を残しつつ、余剰空間を居住エリアとして活用することで、不動産としての価値を高めた。

 このほか、中央区大手門2丁目では(株)NIPPOが「(仮称)ル・サンク大手門Ⅱ」を計画している。建築物の概要はRC造15階建て、延面積6,760.24m2のワンルーム外全70戸。また、中央区地行浜2丁目、福岡ヤフオク!ドーム側では「(仮称)福岡市中央区地行浜2丁目マンション」こと「ザ・パークハウス 福岡タワーズ」が計画されている。建築主は三菱地所レジデンス(株)。建築物の概要は、RC造一部S造28階建てで、延面積2万9,498.65m2のワンルーム外全292戸。

 大型開発案件となる「ザ・パークハウス 福岡タワーズ」の存在もあって、中央区はマンションの開発戸数・開発延面積では福岡市7区中、断トツの1位となった。

▲Before(有)太田佛具店

 

▲After(仮称)(有)太田仏具店様マンションⅡ
RC造地上10階建て ワンルーム外16戸

 

意外(?)と開発盛んな城南区

 博多区や中央区といった都心部が順当な開発状況を見せるなか、マンションの開発戸数で南区と4位を争った城南区。鳥飼6丁目では住友不動産(株)が「(仮称)鳥飼6丁目計画」(RC造一部S造9階建て、延面積360.22m2のワンルーム外全59戸)を計画するなど、大手デベロッパーも開発に乗り出している。

 福岡市地下鉄・七隈線沿線エリアではあるものの、高宮・大楠など根強い人気を誇る西鉄沿線エリアを内包する南区に比べれば、その住宅需要は決して多くはない。しかし、今後、七隈線は地下鉄・JR「博多駅」まで延伸される。また、西区最大の人口を誇る姪浜―その交通要所である地下鉄・JR「姪浜駅」までの延伸を求める声も上がっており、これら交通アクセスの向上が達成された場合は、城南区の生活エリアとしての魅力も向上するのではないだろうか。

 これまでに築き上げられてきた、エリアがもつ付加価値は、開発動向を左右する重要な要素だ。同様に、これから発展が見込まれるエリアなのか否かも、必要不可欠な要素である。将来に向けた具体的な未来図を開発者たちに伝えられるかどうか―持続的な発展には、提案力も求められている。

【代 源太朗】

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