2024年04月30日( 火 )

スルガ銀行の不正融資を検証する(番外編2)

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 【表1】を見ていただきたい。スルガ銀行は第三者委員会がシェアハウスの不正融資を発表する1日前の9月6日、再出発を図るため、営業担当の執行役員8人を選任した。外部から(株)ジェイ・ウイル・アドバンスの特別顧問およびエヌ・デーソフトウェア(株)の社外取締役を退任した佐々木弘氏を上席執行役員に招聘している。

◆第三者委員会(委員長/中村直人弁護士)は9月7日、調査結果を公表した。その内容について検証していくことにしたい。

~調査内容~
◆融資書類の改ざんは、シェアハウス関連だけでなく、アパートなどの投資用不動産向け融資全般にも広がっていたと指摘。
◆シェアハウスに投資してオーナーになろうとするサラリーマンらに対し、1億円を超える融資の審査を通すため、改ざんした書類が相次いで見つかったという。これらの書類はシェアハウスの販売会社を通じてスルガ銀行に提出。顧客がスルガ銀行の行員と接するのは融資を実行する売買契約締結日だけだったため、改ざんされたことを知らなかったオーナーもいたといわれる。また販売会社と銀行とが結託していたというケースも見られたという。
◆さらに手が込むと、不動産の売買契約書の金額より多く融資を実行するため、本物とは別に、売買価格を実際より高くした偽装契約書を作成。それを銀行に提出する、「二重契約」と呼ばれる不正も見られたという。
◆横浜東口支店では有担保ローンと無担保ローンのセット販売率がほかの支店と比べて高かったが、これを実現するため、スマートライフ(現・スマートデイズ/今年5月15日破産決定手続き開始)に対し、金利の高いフリーローン(無担保ローン)をセットしたうえで、シェアハウス案件を抱き合わせで組むよう求めていたとも指摘。
◆偽装の件数は、2014年以降の一定調査で延べ795件にのぼり、「投資用不動産ローン全般にまん延していた」といわれ、一部では支店長レベルが直接関与するなど、組織的に行われていたという。
◆行員を対象に行ったアンケート調査では、「10件あれば10件とも、どこかしらに不正があった」とか、「不正がまったくない案件は全体の1%あったかなかったかのレベル」などといった回答があり、不正が銀行全体にまん延。名はスルガ銀行であっても、実態は岡野商店であり、岡野光喜店主をはじめ、岡野喜之助番頭、以下店員・丁稚奉公人に至るまで、法令順守の意識が極端に欠如していたと厳しく指摘している。

(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

(番外編1)
(番外編3)

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