2024年03月29日( 金 )

知っておきたい保険の付帯サービス

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 中小企業の経営者とお話しさせていただく際、もちろん営業面での課題について相談を受けることも多いですが、最近は労使問題、取引先との賠償問題などのトラブル相談を受けることが増えてきました。ある保険会社の調査によれば、企業が重視する経営のリスクの1位は、2013年には「地震、津波」でしたが、15年には「コンプライアンス違反、ガバナンス問題」となり、17年には「労働、雇用問題」と変わってきているようです。

 労使リスクが長時間労働などで意識されている背景には、労働者の権利意識の高まりだけでなく、労務問題が発生した場合に企業イメージが大きく損なわれたり、訴訟によって多額の賠償金が発生する可能性がある、といった理由があります。このような企業のリスクマネージメントの分野としては、損害保険を活用したリスク対策をご提案しています。

 損害保険のなかには、意外と知られていない付帯サービスがあり、その1つが「就業規則チェックサービス」です。たとえば、パート社員の就業規則がなかったため、今まで退職金を支払っていなかったパート社員から、退職金を請求されたという話もありますが、この付帯サービスを知っていれば、社労士のほかに、無料で保険会社にも相談できる場合があります。企業の対策としては、不慮の事故賠償に備えるために企業の体力をつける方法の1つが、生命保険の活用です。換金性の高い金融商品としての生命保険の活用で不慮の事態に対応できる資金を内部留保し、万一に備えることが必要だと思います。

 もう1つ、経営者として大切なのが、従業員の方々への配慮です。企業には、従業員が心身ともに安全に業務を行えるように配慮する義務があります。予測できる状況で企業が従業員の健康を守るための適切な措置を取らず、結果として従業員が健康を害した場合には、「安全配慮義務違反」となる可能性があります。近年、企業にとって人材不足が深刻化しています。優秀な人材の確保のためには、企業の福利厚生、とくに従業員のメンタルサポートも重要となります。

 保険商品のなかには事業保障の法人契約の付帯サービスとして、従業員のメンタルサポートが対象となるものもあります。ある社員が部署異動後に、「体調が優れない」「不眠」などの異変が起きたとします。社内では相談できる人がいない場合も多く、そのまま症状が悪化してしまい、退職となるケースもあります。付帯のメンタルサポートサービスでは、無料で面談や電話による専門家のカウンセリングを受けることができます。これも、保険選びの1つのポイントです。今一度、お手元の保険契約書を確認してみてはいかがでしょうか。

<プロフィール>
玉井 省吾(たまい・しょうご)

1965年生まれ。長崎出身。88年、福岡シティ銀行入行。県内外の支店に勤務し、中小企業の法人営業を担当。事業者に対し、事業融資、経営アドバイスを行う。99年、外資系保険会社に入社し、ライフプランナーとして勤務。その後、保険を活用した経営コンサル業を開始。2018年1月より現職。(株)アンツインシュアランス 代表取締役社長。

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