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2018年12月27日 09:30

シリーズ・地球は何処に向かう、日本人はどうなる(9)~貴方の老後は貧か富か(3)

 今回から老後が「富」の方々をレポートする。老いれば誰もが死を迎える。2018年、最大の衝撃を受けたのは1歳年下の川井田豊氏との別れである。1977年から付き合いがあった川井田氏はいわゆる“2代目”である。一時は会社を買収されたが、取り返すために熾烈な法廷闘争を行った。また父の代からのビジネス業態の転換に決死の思いで取り組んだ。

 ビジネスにおける同氏との最大の思い出は1989年5月に中小企業の経営者達10人と上海に行ったことだ。天安門事件2週間前の上海でも市民たちによるデモが行われていた。

 今年2月、川井田氏と福岡市内のホテルで会食した。その1カ月後、川井田氏は老後の豊かな生活を享受することなく亡くなってしまった。しかし、これは本人にとって幸せなことだったのではないかと思う。

現世の天国を体現できた姉

 これまで何度も述べてきたように、これまで日本の高齢者の大半が、老後に優雅な生活を送ってきた。大衆を『現世の天国』で楽しませてくれるという意味で、日本は世界最高の国だろう。

 昨年、筆者の6人きょうだいの長姉が90歳で亡くなった。死因は老衰である。義兄は銀行に勤めていたが、50歳で早期退職。その後、職を2回変わったが、最後は小額の資金を基に金融業を営んだ。姉も生活の足しにと洋裁をしていた。

 金融業はリスクもある。焦げ付きもたびたび、発生していた。子どもは女2人、男1人。娘の1人は旭化成に就職して旭化成の社員と結婚、もう1人は看護師になって県立病院に勤務している。息子は九大医学部を卒業後、保健所に勤務している。よく子どもたちを立派に育てあげたものだと感服している。

 姉夫婦の幸せの絶頂期は平成元年からの10年間、海外旅行に4回行ったことである。姉が70歳になったとき、夫婦で長男と同居するようになった。義兄は15年前に亡くなった。それから12年間、筆者は毎年11月に博多に姉を招待した。博多座での観劇と大相撲九州場所を非常に楽しみにしていたからである。姉は亡くなる2年前から足腰が弱くなり、博多に来ることができなくなった。

 姉が最も幸福だった期間は義兄が逝ってからの15年間ではなかっただろうか。息子夫婦は姉の面倒を良くみてくれた。あとで知って驚いたのだが、姉の財産は借家2件と現金が1,000万円だったそうだ。

 ここからが核心事項である。義兄の地方銀行での勤務は25年足らず、安月給だった。残りの20年間は金融業を営んでいたが、焦げ付きもあり蓄えはそれほどなかったものと思われる。

日本システムを享受できた幸運な世代

 勤め人の期間が短い義兄の厚生年金の額は少ないので、姉夫婦の年金収入は国民年金が主力となる。姉が「洋裁代が少しあるから年金と合わせると貯金が増えるのよ」と語っていたことを覚えている。

 5万円×200カ月=でも1,000万円貯まる計算になる。お金が溜まる背景には日本の医療制度によって本人の医療負担が軽減されていることが挙げられる。

 姉の老後が特別に幸せだったわけではない。宮崎の周囲を見渡してみても人並みの部類に入るだろう。姉同様、人生の最終局面を迎えた方々はたくさんいる。姉の人生の最後の10年間は体の衰えがあったとしても、精神的には余裕がある期間だった。

 日本社会は「現世の天国」の提供が可能だった。「現世の天国」を享受できた幸運な世代は1925~1953年生まれぐらいではないだろうか。

 社会保障制度の破綻が明白になったことで、政府は「現役労働を70歳」「女性の全員職場活躍」「年金カット、70歳いや75歳支給」と嫌な画策をしている。衰退していく日本では老人たちが住みにくく、むしろいびられる時代が目前に近づいている。

(つづく)

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