2024年05月07日( 火 )

『脊振の自然に魅せられて』「脊振の山に春がやってきた」

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 春の到来をいち早く知らせてくれる花があります、潅木のマンサクの花です。

 脊振の山では標高500m以上の谷間や縦走路で見ることができます。
マンサクはマンサク科の灌木で、早春に咲く花が東北地方で「まんず咲く」「まず咲く」から「マンサク」になったとも言われています。

 今年のスキーは雪不足で、3月初めの大会も中止となり、早々に山モードに切り替えました。

 「マンサクを見に行きましょうか」とワンゲルの先輩、後輩と脊振の自然を愛する会のメンバーのご夫婦を誘い脊振に向かいました。今年初の仲間との山旅です。

 天気予報は夜から雨、心配していた天気も曇天となり、山日和となりました。

 脇山にあるJAの「ワッキー主基の里」で別の後輩と合流し、総勢6人での山旅を開始しました。登山道へと続く林道は昨年夏の豪雨で土砂崩れとなり、転げ落ちた岩石が道を塞いでいたので、手前の広い空き地に車2台を駐車しました。

 車谷登山口から渓谷沿いの矢筈峠へ向かって歩き始めます。T先輩がいつものようにあれこれと賑やかに山談義を続けています。

 歩き始めると春の息吹を体に感じてきました。1枚だけ葉を出すラン科のサイハイランの緑色の若葉がみずみずしく輝いていました。また、マンサクの花の開花と同じタイミングで咲く背丈10cm程のユリ科のホソバナコバイモの群生が蕾を付け我々を歓迎してくれました。

 その群生のなかで一輪だけ花を開かせているものもあり、我々に「もう少し待ってください」と語りかけているかのようでした。あと10日もすると賑やかに花が咲き誇ることでしょう。

 「昨年より随分少ない、盗掘かな」。私と同じく先輩 Tもそう思っていました。登山者が増えるのは良いことですが、中には心ない人もいて SNSですぐ拡散してしまいます。山や草花を静かに楽しんでほしいものです。

 渓谷沿いの登山道をさらに進むと、昨年取り付けた真新しい小型の道標を目にします。やはり取り付けてよかった、自然のなかに調和して格好の道標となっていました。道標を取り付けたポイントで給水タイムをとります。

 右俣の大きな沢との合流地点、この沢を詰めて縦走路へ行ったのを思い出します。沢の奥は葉ワサビの栽培地だったようです。放置された葉ワサビが岩の合間に生き残っています。春は葉ワサビを採取するのが楽しみですが、決して根からは採取しないように心がけています。

 登山道から50分ほどで目指すマンサク谷へ到着、見上げると黄色い花をつけたマンサクが谷の奥に咲いていました。自生のマンサクなので、栽培種ほど花は大きくありませんが、楚楚として黄色い花をたくさんつけていました。マンサクのある地点まで、それぞれ薮を分け入り鑑賞に浸りました。
数えるとあちらこちらに4、5本花を咲かせていました。各人、好みの樹を見つけてはカメラを向けて撮影に没頭しています。

 頭上のマンサクを見上げて撮ると空に吸い込まれてしまい、花がきれいに見えません。樹木の花は撮影に苦労します。

 傾いた大きな樹に伝って撮影する後輩に「落ちるなよ!」と声をかけます。谷の向こうに見えるマンサクを撮ろうと崖まで近づきカメラを向けると、T先輩が「滑落すると骨折するぞ」と注意喚起してきます。

 マンサクの撮影と鑑賞に満足して、薮を下り、沢沿いの休憩ポイントで早めの昼食をとることに。思い思いに腰を下ろし昼食をとります。私の場所からは谷間の黄色いマンサクが見え、洒落た花見となりました。

 ザックからデコポンを取り出し振る舞う後輩、どうりでザックが膨れ上がっていたわけです。重かったろうに。また別の後輩がコーヒーゼリーを参加者に振る舞ってくれました。彼らはいつも果物やコーヒーゼリーを人数分持参してくれます。心配りが嬉しいものです。

 15分ほど休憩し、体が冷えない内に登山口へ引き返しました。5月になれば小さな白い花をつけるハイノキはすでに蕾を付けており、シキミの花が開き始めていました。

 下る途中に何人かの登山者とすれ違いました。登山スタイルはそれぞれですが、単独登山の女性は12時ごろに上がって来ました。聞くと脊振山頂まで行くと言います。登って下って5時間。山は日暮れが早い、少々心配です。

 T先輩と私は、今年、後期高齢者(75歳)に仲間入りします。いつまで山に登れるかわかりませんが、健康を維持して山を楽しみたいと思っています。 

 また付き合ってくれるワンゲルの後輩や若い仲間に感謝です。今から脊振の山は花で賑やかになります。

谷沿いに咲くマンサクの花
マンサクの撮影に夢中になる後輩 H

2019年3月4日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

関連キーワード

関連記事