2024年04月16日( 火 )

八重洲・日本橋、大規模再開発が目白押し 首都高の地下化も(後)

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再開発組合が認可、日本橋一丁目中地区

 日本橋地区では、「日本橋一丁目中地区再開発」「日本橋一丁目1・2番街区再開発」「日本橋室町一丁目地区再開発」「日本橋一丁目東地区再開発」「八重洲一丁目北地区再開発」が計画され、一部は具体化に向けて動き出している。

 東京都は18年12月14日に「日本橋一丁目中地区再開発」の組合設立を認可した。三井不動産と野村不動産が事業協力者として参画。地区の集約化と街区再編による土地の高度利用を図り、業務・商業機能などの一体整備による高規格な複合機能集積地の形成や、歩行者ネットワークの強化による回遊性の創出、日本橋川沿いの良好な水辺環境の形成などにより、国際競争力を備えた良好な都市空間を創出する。

 金融・ライフサイエンス拠点の形成に向けて、大規模カンファレンスホールや、ビジネス支援施設を整備するとともに、海外からのビジネスパーソンにも対応したホテルを整備する。親水広場の整備や護岸改良による川沿いのプロムナードや歴史的建築物の保全活用などにより、魅力的な水辺環境を備えた良好な都市空間と日本橋川沿いのにぎわいを創出。また、地上・地下の歩行者通路や広場を整備し、地下鉄駅や周辺地区とのアクセスや利便性を向上させる。

 さらには、カンファレンスホワイエなどを活用した帰宅困難者受入スペースを確保するとともに、非常用電源設備や防災備蓄倉庫などを設置し、防災対応力を強化。また、コージェネレーションシステムなど高効率な設備機器の導入や、太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用、屋上緑化などによるヒートアイランド現象の抑制により、環境負荷の低減を図る。このほか、三井不動産が参画している事業としては、「日本橋一丁目1・2番街区」(1.2ha)、「日本橋室町一丁目地区」(0.8ha)などがある。

 さらに「日本橋一丁目東地区市街地再開発準備組合」が、日本橋一丁目東地区への日本橋郵便局の敷地の編入を視野に、施設計画を検討中だ。事業協力者として東急不動産(株)、三井不動産、清水建設(株)が参画。南北に細長い敷地のため、「日本橋一丁目中地区再開発」のような超巨大な超高層ビルの建設は不可能とされているが、それでもかなり大規模な再開発ビルが建設されると予想されている。

 地名では「八重洲一丁目北地区再開発」だが、地理的には日本橋付近に位置する。八重洲一丁目では、「八重洲一丁目北地区再開発準備組合」が総延床面積約18万1,500m2の大規模な再開発施設を計画。こちらもポスト五輪後に期待されるプロジェクトで、事業協力者は東京建物と大成建設だ。

事業スキーム固まった日本橋の首都高地下化

 「日本橋一丁目中地区再開発」などの近隣の再開発にも影響をおよぼし、地元や観光客から長らく待望されてきた日本橋の首都高地下化のスキームがいよいよ固まった。国土交通省、東京都、中央区、首都高速道路会社の4者で構成する「首都高日本橋地下化検討会」は18年7月に、日本橋の首都高地下化プロジェクトの事業概算とスキームを固めた。事業費は約3,200億円で首都高、地元自治体、民間事業者がそれぞれ負担する。工期は10~20年で、東京五輪後の着工を見込んでいる。首都高速道路会社が2,400億円、東京都と中央区が400億円、隣接する5つの再開発事業者が400億円をそれぞれ負担し、発注方式は今後詰めていくという。

 首都高の大規模更新は、これからが佳境に入る。今回の地下化の対象は、都心環状線の神田橋JCT~江戸橋JCTの間の1.8km。そのうち0.7kmが新設トンネル区間になる。

 日本橋の首都高地下化やこれまでの八重洲・日本橋再開発事業が次々と始動し、まちは大きく変わっていく。東京五輪後では、工事が減少するのではないかという観測も囁かれたが、ゼネコン首脳はポスト五輪後をにらんだ戦略も練りこみ、人材採用と育成、技能者の囲い込みにも本腰を入れている。次々と再開発プロジェクトが動き出す八重洲・日本橋は、今後とも注目のエリアだ。

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(了)
【長井 雄一朗】

(前)

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