2024年03月29日( 金 )

シーサイドももちからアイランドシティまで「グランドメゾン」の歴史と強み

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積水ハウス(株)

福岡マンション事業部・吉崎 道夫 執行役員

 これまで240万戸超の住宅を供給してきた積水ハウス(株)。「集合住宅ではなく住宅集合」であるという同社のマンションブランド「グランドメゾン」は、とくに福岡でのレピュテーションが高いことで知られる。広告もなし、在庫もなしというグランドメゾンの戦略と、福岡市の再開発に深く関わってきた同社の福岡における歴史を改めて見てみるとともに、その歴史のすべてに関わってきた同社福岡マンション事業部・吉埼道夫執行役員に、同社の歴史と強みを聞いた。

福岡歴30年、実は古参の積水ハウス

GM百道浜O&F 全景

 福岡で分譲マンション「グランドメゾン」といえば、ハイクオリティマンションとして高い知名度を誇り、「販売開始」などの広告を打たずとも短期完売することで知られている。昨今、中央の大手や新興マンションデベロッパーの供給が増加していることから、積水ハウスも“黒船”と見られる向きも多いが、実は福岡市との関わりは意外に古い。

 1982年から埋め立てが始まったシーサイドももちエリアは、89年に開催されたよかトピア(アジア太平洋博覧会)によって広く知られるようになるが、同時に福岡市における積水ハウスの地位を確立したのも、シーサイドももち地区の再開発によるものが大きい。戸建住宅の開発から始まり、共同事業で複数のマンションを供給したほか、グランドメゾン百道、大濠など、グランドメゾンブランドの供給が始まったのもこのころだ。

 赤坂から唐人町までの中央区および室見から西新までの早良区を中心に、年間5棟前後のペースでグランドメゾンの供給を続けてきた同社は、2006年からはアイランドシティ(東区照葉)でも積極的な供給を開始。テレビCMや物件広告をみないことから、同社が“いつの間にか”「大濠に」「平尾に」「アイランドシティに」街をつくっていたことに、後になってから気づく福岡市民も少なくないことだろう。“いつの間にか”は、グランドメゾンの外構にもポイントがあるかもしれない。植栽などで深く覆われた外観は、歩行者からは一見してマンションに見えない場合もあるほど。

 たとえば百道浜Ocean&Forestでは、駐車場の上部が木々で覆われ、さながら里山の森のようになっている。年月を経るほど風格を増す“経年美化”に配慮された外構は、その土地固有の在来種の木々だけでなく自然石の石積みにも現れている。戸建事業から始まった同社の住宅事業を象徴するように、グランドメゾンは戸建の集合体であることを忘れない設計となっているのだ。

GM百道浜O&F 植栽1
GM百道浜O&F 植栽2

 

福岡マンション事業部 吉崎執行役員に聞く「グランドメゾン」とは

 福岡で最初の「グランドメゾン」となった百道(全9戸、91年1月完成)は、6階建ての瀟洒な佇まいであり、当時としては画期的なワンフロア2戸構成で、いずれも100m2を超えていました。この百道から、19年6月完成予定の「六本松ザ・テラス」(全43戸)まで、これまで福岡市中央区と早良区、東区照葉を中心に113棟のマンション供給に関わってきました。その間、バブル崩壊やリーマン・ショックなど、たび重なる不動産不況に見舞われましたが、ありがたいことに、ここ10年以上完成在庫はありません。手前味噌ながら、グランドメゾンではマンション周辺の外構に、一般的なマンションの4~5倍は予算をかけています。

 我々は戸建から始まった住宅会社なので、自然と外構には力を入れてきました。「この外構がグランドメゾンの好きなポイントの1つ」と言っていただくことが多くなってきたのは、大変喜ばしく思っています。

 また、完成在庫がないこともあり、販売は「グランドメゾンデザインセンター」(中央区警固)でのみ行っています。マンションのモデルルームでは、ハイクラスのキッチンなどの住設機器、内装となっていることが多いと思いますが、弊社のデザインセンターで展示しているモデルルームは、標準仕様というところが差別化ポイントでしょうか。やはり、標準仕様を気に入っていただくことが、グランドメゾンを気に入っていただくためには必要なことだと思います。

デザインセンター モデル1
デザインセンター モデル2

 

<COMPANY INFORMATION>
積水ハウス(株)

代 表 :仲井 嘉浩
所在地 :大阪市北区大淀中1-1-88
福岡マンション事業部 :福岡市中央区天神1-15-6
設 立 :1960年8月
資本金 :2,025億9,120万円
URL : https://www.sekisuihouse.co.jp

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