2024年04月24日( 水 )

安倍改憲戦略=消費税増税凍結&衆参ダブル選選択

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は消費税率の5%への引き下げと、最低賃金全国一律1,500円実現という政策公約を明示して安倍政治対峙勢力の結集を図るべきだとした5月3日付の記事を紹介する。


 安倍首相は在任期間が長くなったが大きな成果を残していない。アベノミクスはメディアがはやしているだけで、日本経済の実績は最低最悪である。消費税増税延期は日本経済が不調であることが根拠だった。2019年の増税予定も延期されると見られるが、その理由は日本経済が再度不況に突入する可能性が高いからである。
 安倍内閣が強行してきたのは

教育基本法改悪

特定秘密保護法制定

集団的自衛権行使容認

戦争法制制定

共謀罪制定

働かせ方改悪制定

入管法改悪

TPP・日欧EPA批准

種子法廃止・漁業法・水道法改悪

などで、すべてが日本の主権者国民にとって有害なものである。これらの諸施策に賛同する者がいるのは事実だが、主権者多数は賛同していない。その安倍首相が首相在任の遺産として何かを残したいと考えている。それは憲法改定=改悪である。

 憲法記念日の5月3日に安倍首相は2020年の改定憲法施行について、改めて意欲を示した。この目論見を実現するには、衆参両院で3分の2以上の改憲勢力を確保しなければならない。

 現状ではこの要件を満たしているものの、本年夏の参院選前に憲法改定を発議できる状況にない。憲法改定を発議しても、国民投票で否決される可能性が高いと見られている。この状況を打破するために、安倍首相は次の国政選挙で憲法改定の態勢を整えたいと考えている。

 2019年夏には参院選が実施される。衆院総選挙は2021年秋までに実施される。この衆院総選挙がいつ実施されるのかが焦点になる。2019年10月の消費税増税を実施する場合、日本経済は確実に景気後退に突入することになる。

 2020年に東京五輪が予定されており、五輪後に日本経済に強い下方圧力がかかることも予想されている。そうなる、2020年と2021年の衆院総選挙は政権与党にとって強い逆風を受けるものになる。

 他方、憲法改定を強行するには、まずは2019年の参院選で参院3分の2以上の議席を確保しなければならない。しかし、その保証がない。

 消費税増税を実施して2020年、2021年の衆院総選挙を戦うことは極めて難しい。次期衆院総選挙を踏まえると、2019年の消費税増税を強行することは不可能に近い。このことから、安倍首相は2019年消費税増税は断念したと考えられる。そして、消費税増税は延期でなく凍結になる可能性が高い。

 その場合、消費税凍結を選挙に生かすとすれば、これを参院選にだけ活用するのでなく、衆院総選挙にも活用しようとするだろう。したがって、衆参ダブル選の可能性が高いと見られるのだ。

 消費税増税を凍結して参院選を戦い、時間を空けて衆院総選挙を実施するならば、消費税増税凍結に対する批判が沸騰することも想定される。衆院総選挙に消費税増税凍結がプラスに作用するとは言い切れなくなる。したがって、消費税増税凍結を宣言して、衆参ダブル選に突入することが十分に考えられるのだ。

※続きは5月3日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「消費税率5%&最低賃金全国一律1,500円の衝撃」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

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