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2019年05月08日 13:56

『脊振の自然に魅せられて』~道標設置事業、たった1枚の名刺から

「背振に道標を立てませんか」

 荒瀬泰子早良区長を訪ね、背振に道標を設置することを提案したのは2008年5月のことだった。

学生時代に所属していたワンダーフォーゲル部の3年時、西南学院大学創立50周年行事として部員総出で脊振山系に道標60本を立てた。しかし、40年が経過し、道標は朽ちてしまい跡形もなくなっていたのが区長に道標設置を提案した理由だ。

脊振への恩返し

 2008年1月、10年間撮り続けた脊振の写真をまとめた写真集『脊振讃歌』を出版した。その年の2月に職場、知人、ワンゲルの先輩後輩、弓道やキノコの会の趣味仲間を招いての出版記念パーティーを母校の施設で開催した。

 行事が一段落したころ、脊振に恩返しをしなければと考えていた私は、道標の設置についてワンゲルの同期に相談してみた。

その後もどのように立てるか?費用は、人員は?と思考錯誤する日々が続いた。幸い東京在住の同期で主将だったM君が道標を立てた当時の資料を保存しており、それを送ってくれた。40年前の資料だが、有効なヒントとなり、「脊振山系の脊振山から三瀬峠の福岡県側は早良区のエリアだ、そうだ早良区長に会ってみよう」と考えるに至った。

幼なじみと50年ぶりの再会

 ソニー退職後、セカンドキャリアで福岡市西区役所の嘱託職員として勤務していた時、西区役所の総務部長は幼なじみの I氏だった。I氏が私の経歴に気づいて声をかけてきたのだ。実に50年ぶりの再会である。彼は戦後間もない少年時代を隣同士の長屋でともに過ごした仲である。

 彼なら早良区長を知っているだろうと思った私は、「早良区長を紹介してほしい」と頼んだ。早良区長に会うことで脊振との縁がきっとつながるだろうという強い信念から起こした行動だった。

 早良区長とのアポイントメントを取ることができ、I氏と荒瀬泰子区長(現・福岡市副市長)を訪ねた。手土産に写真集「脊振讃歌」を持参し、脊振の話を色々とさせてもらった。

1枚の名刺

 ある日のこと、井原山の撮影を終えて渓谷沿いの登山道を下っていると道標を立てているグループに遭遇した。思いきって声をかけてみると1枚の名刺をもらった。前原市役所(現・糸島市)のA氏だった。1枚の名刺をもらったことが後の道標設置という一大事業へと発展していくことになる。

 後日、前原市役所にA氏を訪ね、道標の材料、制作費用、人員など道標設置のノウハウを聞いた。また前原市の施設「トンカチ館」で作業ができるということも教えてもらった。トンカチ館とは木工作業所で、誰でも格安で利用できる施設のことである。

再び荒瀬区長を訪問

「脊振へのいざない」パンフレット
(早良区役所で無料配布しています)

 後日、早良区長に「お会いしたい」という旨のメールを送ったところ、区長からすぐにOKの返事が届いた。私は道標設置に関する資料を持参し、予定の日時に荒瀬区長を訪問した。

 私は区長に「脊振に道標を立てませんか、大学のワンダーフォーゲル部創立50周年記念行事としても、ぜひ行いたい」と自身の熱い思いを伝えた。すると区長は「やりましょう!」と快諾していただいた。

 早良区役所は「脊振へのいざない」という4折のパンフレットをすでに制作しており、脊振に道標を設置したいとの思いがあったのだろう。そこへ私が飛び込んできたというわけだ。

そこから早良区役所企画課の担当N氏を紹介され、彼と道標事業のプランを練っていった。早良区役所の担当課長、係長、担当者も交え、何度も打ち合わせを重ねた。当初は面識もない区の職員との打ち合わせとあって、堅苦しい雰囲気だったが、回数を重ねて行くうちに打ち解けていった。

後輩たちと下見登山

ワンゲルの学生、後輩たちと金山下見登山・左上から2人目が筆者(2008年7月6日)

 大学のワンダーフォーゲル(以下ワンゲル)の後輩たちにも「脊振に道標を立てたいので協力してほしいと」と私の熱い思いを伝えた。

 後日、ワンゲルの主将H君から「下見にゆきます」との連絡が入った。私も同行することを伝え、7月初旬に下見登山をすることになった。2年後輩でOBのT君も同行してくれるようになった。

 花乱の滝登山口から金山(967m)へ登り、坊主が滝登山口へ下るコースである。H君、T君、女子学生たちと車2台で登山口へと向かう。その日は暑く、登るに従って全員が汗びっしょりになってしまった。休憩場所の金山直下の水場で昼食をとり、金山山頂で記念撮影をし、決起集会も行った。

 この下見登山がヒントになり、どこに道標を設置するか私なりにプランを練っていった。週末の度に山へ入り、道標の設置場所にマークを取り付けた。それを基に道標の手書きの製図をノートに書き込んで行った。道標の大きさ、支柱の高さ、それぞれの地点、方向を含めた製図である。

 その製図を基に区の担当者Nがパソコンで1:1の図面をつくりあげていった。

●●●●

 ある日、荒瀬区長が担当者のN氏に「池田さんは来ようとね」と尋ねたという。N氏が「ハイ、毎日のようにきています」と答えると、区長は「なんで早く言わんとね」と言ったそうだ。

 おそらく私が道標設置を切り出したものの、そのまま区役所に任せっぱなしにしていると思っていたのだろう。

 道標ポイントを設定する登山にN氏も何度か同行してくれ、道標設置事業は道標のパーツづくりへと進んでいくことになる。

(次回に続く)

2019年5月8日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

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