2024年04月20日( 土 )

『脊振の自然に魅せられて』小雨のなかの道標設置作業

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 道標設置作業も順調に進み全行程(9日間)の半分ほどが終了した。

 2008年11月1日、西南学院大学体育館前に学生およびOB総勢12名が集合した。

 この日、ワンゲルの同期Tが軽トラックできてくれたおかげで、道標の支柱や方向を示す材料、スコップなどの作業道具をすべて積み込むことができた。また後輩Hも応援にきてくれた。

 学生たちを車に乗せ、福岡-佐賀間の国道263号線から旧道の三瀬峠を越え、佐賀県の金山・脊振林道に入る。この林道を利用すれば、脊振の縦走路へ行くのに1時間は短縮でき、登山道も緩やかである。

 小爪峠の登山口に着き、この場所へ1本目の支柱を埋め込み道標が完成。2本目以降はここから30分の小爪峠周辺である。この場所は脊振山から三瀬峠の縦走路の中間地点に当たる。小爪峠から福岡方面へは、足場が悪い沢沿いの登山道を下っておよそ2時間で湯の野のバス停に着く。

 また佐賀県側の小爪峠の登山口を下れば山中キャンプ場へ続いている。ここは、かつて福岡と佐賀の往来の場所であった。

小雨のなかの猟師岩山の設置作業

 この日はあいにくの小雨模様で、雨具を着ての作業となった。男子学生は支柱を肩に担ぎ、女子学生はスコップや穴掘り道具を手にもち、先輩OBのTは道標パーツを背中に背負って歩荷した。先輩Tは、いつも荷揚げを引き受けてくれる頼れる先輩である。

 小爪峠での設置は順調に進み、金山、椎原峠、湯の野の3方向の道標、それに現地点を表示する小爪峠の4つのパーツと15cm角のメンテナンス番号であるNO11を取り付けた。

 それから先輩Tのグループと別ルートの湯の野方面への設置グループと2手に別れて作業をした。私は小爪峠のグループに入り、歩いて20分の場所にある猟師岩山での設置に向かった。猟師岩の名前の由来は、猟師がこの岩場に潜んで獲物を狙っていたからと表記されている。

 岩場の硬い場所を避け、支柱が立てやすい場所を選ぶ。小雨のなかの設置だったが、作業中の学生も余裕ができて時折、笑い声もあがるなど、楽しく作業を進めた。

 穴掘りが終わると支柱の固定にかかる。学生たちも作業にも慣れてきて、それぞれが自分のやることを理解し、手の空いている者は小石を集めに行った。

 支柱を固定するために中心部に小石を敷き詰め、上部に比較的大きな石を敷き詰める。少々、ぐらつきもあるので、支柱周辺の石を別の石で叩いて固定する。原始的だが、これが一番簡単な方法である。

 猟師岩山(893m)には古い金属製の支柱に手書きの標高が記された道標と、猟師岩山のいわれを記した古い木製の表示板があり、歴史を感じた。我々が設置した道標により、周辺が明るくなったように感じた。(道標設置から10年経った今は、金属製の支柱もいつの間にか腐ってなくなっている。)

 小雨の中、猟師岩山での道標設置を終え、記念撮影をして小爪峠へと戻った。そして先輩Tグループと合流し、全員で小爪峠から下りの福岡方面のルートへと向かった。

 この日の最終は小爪峠から下って10分の場所にある小さな滝がある水場である。小爪沢の源流で、清流が小笠木川へと流れ込み、やがて室見川となっていく。

 この日の最後の取り付けを終え、私はハッと気がついた。道標の向きがどうもおかしい。取り付けるパーツのNo13とNO24を間違っているのである。また設置場所も違う。

 これは私が道標地点を示す黄色いマーカーを余分に取り付け、先輩Tがここだと判断し、設置したのである。とりあえず車を停めた佐賀県側の登山口に下り、まずは昼飯を食べてからやり直そうと判断し、全員で歩いて15分の登山口へ戻った。ブルーシートを広げて腰を下ろし、皆で定番のワッキーの鶏飯弁当を食べた。

 一息ついて学生たちと『やるぞー』と声をかけ、再び主要時間20分の小爪峠へと向かった。そして間違った地点の支柱を外し、正規の場所へ移動し、左右逆となるパーツも取り替えた。

 あと1つ作業が残っている。今日の参加者に車を停めた登山口へ戻ってもらい、私とワンゲルの主将Hとともに間違った最後のパーツを腕に抱え、20分の登りの縦走路へと向う。Hも彼の後輩1人に声をかけ、3人で縦走路を登り、取り替えに行った。

 霧の立ち込めた静かな縦走路を15分歩き、道標地点に着いた。支柱からボルトを外し、正規のパーツに取り替えた。トラブルも解決し、3人で登ってきた登山道を下り、皆の待つ登山口へと向かった。〝サクサク″と登山靴で落ち葉を踏みしめる3人の足音が周囲にこだましていた。小雨に見舞われ、トラブルもあったが充実した1日であった。そして、総勢12人参加の道標設置作業を無事終えることができた。

参加者の記念写真

2019年6月11日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

(前)
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