2024年05月03日( 金 )

東京・虎ノ門の超巨大再開発、200m級の超高層が続々(前)

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 虎ノ門といえば、「虎ノ門ヒルズ」を思い浮かべる方が多いだろう。隣接地では、「(仮称)虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」「(仮称)虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」と、3棟の巨大プロジェクトが進行。それぞれ200mクラスの超高層ビルとなる計画だ。さらに、南側を中心に2025年までに完成を迎える巨大プロジェクトがいくつも進められており、近い将来、虎ノ門は超高層ビルが林立する、東京を代表するまちとなる。

環状第2号線、東京のメインストリートへ

新虎通り

 2014年5月に完成、6月に開業した超高層ビル・虎ノ門ヒルズ。その周辺【虎ノ門エリア】で、大規模再開発が進行している。

 「環状第二号新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業Ⅲ街区」として東京都の施行、森ビル(株)が特定建築者となって建設された虎ノ門ヒルズは、地上52階・地下5階建で、アンテナなどを含めると東京都内で最も高いビルとなる。立体道路制度を活用して環状第2号線と一体的に建築した官民連携による象徴的なプロジェクトで、環状第2号線(新橋~虎ノ門)「新虎通り」における沿道開発のモデル事業である「新虎通りCORE」も18年9月完成に向けて工事が進められている。新虎通り沿道のにぎわいづくりの拠点となることが期待されている。

 新虎通りでは、20年東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京オリンピック)を活用した地域活性化推進首長連合が主催、経産省共催で「旅する新虎マーケット」を17年2月から開催。日本全国の「ヒト」「モノ」「コト」の魅力を編集・発信し、地方創生へつなげる“The Japan Connect”を目的に、約3カ月ごとにテーマを設けて日本全国のさまざまな体験を提供してきた。今年4月からは名称を「旅するマーケット」に変更するとともに、エリアを新虎通りから西側の赤坂アークヒルズまで拡張した。

 新虎通りを含む環状第2号線は、江東区有明から中央区、港区などを経て千代田区神田佐久間町の間を結ぶ、全長約14kmの幹線道路。これまでに、外堀通りの区間など約9kmと、14年3月に港区新橋から虎ノ門までの約1.4kmの区間が開通した。現在、未整備となっている江東区豊洲から港区新橋までの約3.4kmの区間で工事が進められており、東京オリンピックでは晴海の選手村とオリンピックスタジアムを結ぶ道路として位置づけられている。

ヒルズ周辺で計画3棟の200m級ビル

 この隣接地で、「日比谷線虎ノ門新駅(仮称)」を含む3つのプロジェクトが進められている。17年2月に着工した「(仮称)虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」(以下、ビジネスタワー)、同年3月に着工した「(仮称)虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」(以下、レジデンシャルタワー)、そして新駅と一体開発する「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(以下、ステーションタワー)で、これら3棟を加え、「虎ノ門ヒルズ」は区域面積7.5ha、延床面積80万m2に拡大する。「国際新都心・グローバルビジネスセンター」を目指す虎ノ門・新橋エリアの最大のプロジェクトだ。

3.虎ノ門ヒルズエリア全体像(資料:森ビル)

 19年12月に完成予定のビジネスタワーは、商業施設を含む36階建の大規模オフィスタワー。日比谷線・虎ノ門新駅や銀座線・虎ノ門駅とも連結される予定であるほか、20年の東京オリンピックでは選手村や競技場とも接続される交通拠点となる計画。1階には都心と臨海をつなぐBRTも発着可能な1,000m2のバスターミナルも設置される。

 21年1月に完成予定のレジデンシャルタワーは54階建で、約550戸の住宅棟としては日本一の高さとなる超高層マンション。既存の虎ノ門ヒルズレジデンスと合わせ約720戸の超巨大レジデンスとなる。マンションブランドは森ビルの高級ブランド・MORI LIVINGとなる。

 22年に完成予定のステーションタワーは、容積率も大きく緩和されており、最大で1,990%。地上49階・地下4階、約265mの超高層ビルとなる。入居するホテルブランドは未公表ながら、中層階にホテルが入る予定のほか、オフィスや店舗が入る。ステーションタワーを含む都市再生特別地区(虎ノ門一・二丁目地区)はA-1街区からA-4街区、B街区の5街区で構成され、A-1街区のステーションタワーだけでなく、B街区のビルも約100m(地上17階、地下2階)の高層ビルになる予定。イメージパースを並べてみると小さく見えるが、福岡市内でみれば15傑に入る部類の高層ビルだ。

ビジネスタワー予定地(2018.3下旬撮影)

レジデンシャルタワー予定地(2018.3下旬撮影)

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 ステーションタワー周辺の都市計画では、新駅を含むことから駅とまちをつなぐ立体的な駅広場、新駅と周辺市街地をつなぐ重層的な歩行者ネットワークが整備される。

 森ビルは、地域冷暖房事業と特定送配電事業を20年1月に開始する。ビジネスタワーとその後に完成予定のステーションタワーの地下にそれぞれプラントを設置し、熱源と電気を供給。エネルギーの相互融通を可能にして効率的な運用と事業継続計画(BCP)対策に役立てるほか、省エネにも取り組み、最適なエネルギー利用を目指す。2棟の超高層ビルのほか、虎ノ門駅と虎ノ門新駅(仮称)を結ぶ地下通路などにもエネルギーを供給する。さらに、災害などで系統電力供給が絶たれた場合にも非常用電源となり、ガスが遮断されても72時間分の電力を確保できるという。

 完成すれば、虎ノ門ヒルズ、ビジネスタワー(虎ノ門一丁目3・17地区A街区)、レジデンシャルタワー(愛宕地区1地区)4棟の超高層ビルが立ち並ぶ圧巻の景観となる。

 日比谷線・虎ノ門新駅は、霞ヶ関駅と神谷町駅の間、虎ノ門ヒルズ至近に設置。すでに着工されており、東京オリンピック開催前の20年には地下1階に暫定改札を設けて供用開始、22年には改札口を地下2階に移設し、最終完成となる予定だ。新駅は銀座線・虎ノ門駅と地下道で接続され、鉄道の乗り換えにも対応する。これは、ビジネスタワーに設置される予定のBRTバスターミナルと合わせて、今後進む再開発によりさらなる混雑が予想されるエリア内の負荷分散などの狙いがある。

虎ノ門新駅予定地と断面図

 新駅整備の事業主体である(独)都市再生機構(以下、UR)の担当者は、初めての駅整備事業について、次のように語った。

 「虎ノ門エリアは、特定都市再生緊急整備地域整備計画において、国際ビジネス拠点の形成、交通結節機能の強化を図ることが位置付けられています。そこで、当事業では、単なる駅整備ではなく、周辺開発と連携し、駅とまちをつなぐ機能整備を目指しています。URは多様なまちづくりを行っていますが、まちと一体となった駅整備は新たな試みであり、エリア価値の向上を目指す取り組みとしても非常にやりがいがあります。国道下で、周辺開発と計画、施工調整を行いながら整備することは物理的にも難しい事業ですが、さまざまな都市活動の舞台の形成につながればと思い、日々取り組んでいます」。

日比谷線 虎ノ門新駅イメージ(資料:UR)と虎ノ門二丁目地区再開発計画イメージパース(資料:東京都港区)

(つづく)
【永上 隼人】

 
(中)

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