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2019年08月02日 10:58

「片山さつき、ろくでもない」、山本太郎氏が生活保護切り捨てを糾弾

質問を求める山本氏(2019.8.1新宿駅西口で筆者撮影)

 れいわ新選組の山本太郎代表は1日、東京・JR新宿駅西口で街頭記者会見を開き、2012年ごろからの自民党による生活保護の受給バッシングを糾弾。大勢の聴衆と「片山さつき、ろくでもない」と唱和した。

 7月の参院選後、初めての街宣となった。山本氏は「落選した山本太郎と申します」とあいさつすると、「頑張れ」「応援しているぞ」と声援を浴びた。

 山本氏は選挙公示前まで行っていた質疑応答を復活させた。貧困問題や日韓関係、吉本報道などの質問の後、「精神障害者2級」の男性から「親に迷惑を掛け、情けない思いをしている」と告白があった。

 山本氏は男性が仕事上の責任感から適応障害になった経緯を聞き出し、「責任を背負いすぎではないか。国や親から面倒を見てもらうことに対して、申し訳ないとか思わないでいい」と返すと、賛同の拍手が湧いた。

 「自分の状況に困ったり、困ろうとしているのに、手を差し伸べない国や行政に存在している必要があるのか。胸を張って国に面倒を見てもらってください」と鼓舞した。

 山本氏は、毎夜飲み歩いたり、朝から晩までパチンコに興じられるほど生活保護が手厚くなく、生活保護を必要とする者がそれを受けられる捕捉率は我が国の場合2〜3割(所有資産も考慮した場合)にとどまることを挙げ、「これを100%に近付けなければ」と訴えた。

 捕捉率が低い理由について、「水際で止めているから。もっと働けるだろうと。申請に行くのをやめて死んだ人もいるのに」と福祉事務所での窓口対応をやり玉に挙げた。「水際作戦」とは、生活保護の申請を受理しないこと。そうすることで、支出削減とともに保護不開始率の高さの隠蔽(いんぺい)もできる。

 さらに山本氏は、「生活保護を受ける人に対し、恥と思えという空気があるが、これをつくり出したのは自民党。片山さつき、世耕(弘成・ひろしげ)さんです」と断言した。

 選挙期間中、名古屋・甲府・新宿の3カ所で大合唱した竹中コールに倣い、「片山さつき、ろくでもない」と3回声を合わせた。

 生活保護法は2013年の改正で、福祉事務所の調査権限の拡大や罰則強化とともに、申請時に資産や収入、扶養義務者の状況などの書面提出を義務付けた。つまり、「水際作戦」の合法化である。

 同改正の前年に自民党生活保護に関するプロジェクトチーム座長に就いたのが世耕氏。同じ年に片山氏が、生活保護を受けている親(不正受給はなし)をもつお笑い芸人への批判をテレビで繰り返し、世耕氏が加勢した。片山氏は「日本人が本来持っていた『恥の文化』が失われている」などと主張してきた。

 山本氏は憲法13条の「個人の尊重」を挙げ、「子どもと親は別人格。親とのあつれきがあったり、折り合いが悪くても、子が親を面倒見るのか」と疑義を唱えた。

 「結局、自民党が言っている『家族を大切にしよう』とかは、ただ単にコストダウンでしかない。『家族を大切にしよう』とか言っている自民党が、どうして子どもをもてる経済状況をつくらせない社会にしているのか。でたらめ」と糾弾した。

 山本氏は、安倍内閣が掲げる「介護離職ゼロ」もやり玉に挙げた。「それならキャリアが途絶えないよう、行政が安定した手立てを考えなければ。『家族を大切に』とか言って結局、嫁さんに面倒見させるんだろう。その昭和のおっさんメンタリティー、いい加減やめろ」と突き放し、喝采を浴びた。

 山本氏は、生活保護が我が国唯一の安全網であると強調。不正受給が(件数で)2%未満であることを踏まえ、「98%適正受給のものに対し、ほとんどが不正受給ととられるような印象操作を国会やマスコミが行ったからこそ、生活保護を受ければ『生活保護を受けている人はろくでもない』『不正受給だらけじゃないか』となる。何言ってんだ。もういい加減にしろ」と報道陣をにらみつけた。

 そのうえで山本氏は、「今のセーフティーネットは、完全に沈没してからしか使えない。何もかも失ってからでは、立ち直りに時間がかかる」として、生活・住宅・医療など8種類の扶助からなる生活保護について、「生活」の食費や「住宅」などが単給で利用できるような制度改正を主張した。

 我が国の生活保護の捕捉率は、所得のみで見ると15〜20%。英国の90%、フランスの91.6%、ドイツの65%と比べても著しく低い。

 地方創生担当相の片山氏は、旧大蔵省出身の「小泉チルドレン」。2005年の総選挙で郵政民営化に反対する旧自民党議員の刺客に立った。世耕氏は同PT座長時、自身のブログに「本件を放置すると保護費の増大から財政への悪影響という公益上の問題が発生する」と書き、目的が予算削減にあることを告白している。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。

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