2024年03月29日( 金 )

約80haの巨大プロジェクトも進行中 福岡の「セントラルパーク」エリア(前)

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大濠公園

福岡のセントラルパークとは?

 福岡県と福岡市とが共同で打ち出した「セントラルパーク構想」は、大濠公園と舞鶴公園の一体的な活用を図り、県民・市民の憩いの場として、また、歴史や芸術文化、観光の発信拠点として、公園そのものが広大なミュージアム空間となるような公園づくりを進めるための構想である。

 大濠公園ならびに福岡高等裁判所跡地までを含めた舞鶴公園周辺エリア、総面積にして約80haを一体整備する巨大プロジェクトとなっている。

 同構想は、1991年5月に策定された「舞鶴城址将来構想」と、史跡関連計画に含まれていた「福岡城跡整備基本計画」「鴻臚館跡整備基本構想」といった各構想・計画が、それぞれの整合性を図りながら1つの巨大な構想として再構築されて立ち上がったもので、14年6月に策定された。その具体化に向けては、19年3月までに全5回の基本計画検討委員会が開催され、19年6月に「セントラルパーク基本計画」が策定された。

 “福岡のセントラルパーク”が目指す姿として掲げられた基本理念は、「時をわたり、人をつなごう。~未来へつながる福岡のシンボルへ~」。ジョギングやウオーキングなどの利用に加え、イベントの開催地としての活用も視野に入れる。四季折々の植物・生き物の観察が楽しめる自然公園としての役割はもちろんのこと、福岡市美術館の存在を生かし、アートめぐりの拠点としての存在感も高めていく。

 福岡城跡や鴻臚館跡といった史跡も、パーク内のWi-Fi整備や、VR・ARなどのデジタル技術を用いた解説サービスを充実させることで、歴史と最先端技術の融合による観光・ツーリズムも先鋭化させていく。

 こうした古代と現代の福岡のイメージを比較しながら楽しめる“コト消費”の推進は、時代に即した魅力づくりといえるだろう。

80haを4ゾーンで構成

福岡城跡
福岡城跡
鴻臚館跡
鴻臚館跡

 セントラルパーク構想では、全体を大きく4つのゾーンに大別。大濠公園全域と舞鶴公園・西側広場を含む「憩と文化の交流ゾーン」のほか、福岡城跡を中心とした「福岡城跡ゾーン」、鴻臚館跡を中心とした「鴻臚館跡ゾーン」、そして両公園全体および周辺を範囲とする「城跡イメージゾーン」となる。

大きく4つのゾーンに分かれる「セントラルパーク」
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 今回策定された基本計画ではそのゾーニングをベースに、「水辺の憩いエリア」「芸術文化エリア」「交流広場エリア」「鴻臚館エリア」「福岡城本丸エリア」「福岡城二ノ丸エリア」「エントランスエリア」とさらに7つのエリアに細分化されたほか、具体的なエリア整備計画では、重点的な整備が求められる範囲や施設を8カ所選定。ゾーニングに基づく各エリアの特性を踏まえながら、整備の方向性が示された。

 実施計画については、2032年までの概ね10年間の期間の「短期」と、その後の「短期以降」の2つのフェーズで、管理運営や再整備の事業を進めていく。

 短期では、ソフト施策の充実とそれを支えるハード整備の推進による両公園の魅力の向上および回遊性の強化に主眼を置き、公園間の移動環境の向上やエントランス空間の機能強化などを優先した施策を展開していく。また、持続的に改善し続けていく公園を実現するため、短期終了後には、社会情勢や公園ニーズの変化などへの対応や、実施した施策内容の評価や改善策の検討を実施。

 短期以降では、遺構の復元などを始めとした歴史の重層性の表現とさまざまな利活用を育む大規模な広場空間の創出を実現することで、両公園が“福岡の真のランドマーク”として愛され続ける公園となるための整備や、仕組みづくりなどを進めていく計画となっている。

 こうして、福岡都心部の「セントラルパーク」として、一元的な整備が進められていく大濠公園と舞鶴公園。将来的に、周辺エリアの魅力向上にさらなる寄与をしていくと思われるが、今現在も両公園の周辺は交通利便性の良さも相まって、住環境としては市内でも上位の高い人気を誇っている。ここで改めて、両公園の概要について抑えておこう。

※クリックで拡大
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(つづく)
【特別取材班】

(中)

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