2024年04月20日( 土 )

トップアスリートほど意識する 体のパフォーマンスを高める(後)

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(株)R-body project

驚くほどにマシンが少ない

 R-body projectのコンディショニング施設は、東京・大手町と恵比寿の2カ所にあるが、訪れてまず目に入ることは、自由に使えるフリースペースが多く、トレーニングマシンが少ないことだ。

 「普段の生活では、重力に逆らって自分の力で自分の体を支えて動いている。さらに、立ったり、歩いたり、走ったりと体を使うときの動きはさまざまだ。だから、決まった動きをするだけでなく、日常と同じように、自分で自分の体をコントロールして、動かすことが欠かせない」と高田氏は話す。

 そのためR-body projectは、利用者に対してS・O・A・P®という体のチェックを行った後に、1対1で、トレーナーがコーチングをしながらエクササイズを伝える方法をとっている。S・O・A・P®の結果をもとに、エクササイズの目的とポイント、注意点などを伝え、利用者の目的達成に導いていく。

 そのときには、効果の出る正しいフォームでできているかをチェックするトレーナーの目と利用者に効果的にエクササイズを伝えるためのコーチングが欠かせない。利用者の1人ひとりのペースに合った方法で、トレーナーがエクササイズを伝えていく。自分の体はどうなっているのか、その原因を知り、なぜこのトレーニングが必要なのかがわかると、普段の生活でも自分の体の変化に気づけるようになる。

 だから、セルフトレーニングで施設を使っている人も多い。フリーで見ているトレーナーがいるので、エクササイズをしていて気になるときはトレーナーがサポートしている。

トレーニング業界のカギは「人」

 これからのトレーニング業界のカギは「人」だと高田氏は話す。今までは、トレーニングや医科学的な知識があるトレーナーが優れたトレーナーだといわれてきた。だが、インターネットが普及している昨今、トレーニングや医科学的な情報はすぐ手に入ることができ、体の動きや姿勢をチェックしてトレーニングプログラムをつくるところは、人工知能(AI)を取り入れた施設も出てきている。

 そうなると、利用者1人ひとりと向き合って関係を築きながら、それぞれの人に合う方法で必要なトレーニングを伝えて、モチベーションを上げながらベストなタイミングでサポートしていくことがトレーナーの役割になる。「これは人でないとできないこと。これからのトレーニング業界は、コーチングをはじめ、人ならではの場づくりが欠かせなくなる」と高田氏はいう。

 トレーニングをしていて、効果のある正しい方法でできていないときも、関係を築いている「人」であるトレーナーだからこそ、利用者の気持ちを理解して方向を変えて、良い結果にもっていくことができる。たとえば、料理の店でも、おいしい料理に優れた接客があるからこそ、利用者が居心地の良い店だと感じるのと同じことだ。

 だから、R-body projectは、人を育てることにとても力を入れている。自社の社員教育をするだけでなく、トレーナーを育成するR-Academy(アール・アカデミー)を2011年に設立した。

 トレーナーは、「コンディショニング」のスキルを身につけることはもちろん大切だが、これからの時代はいかに人に伝わるように伝えられるかというコーチングやコミュニケーションの力も必要だと考えている。トレーニングの内容を言葉にすることにとどまらず、伝えた相手が良い方向に変わってこそ、ゴールだ。

 R-Academyを卒業したトレーナーは、経験とスキルを身につけて、全国のフィットネスクラブやジムでコンディショニングの方法を多くの人に伝えているという。

自社のスタッフの育て方もユニーク

 R-body projectは、自社のスタッフの育て方もユニークだ。トレーナーはトレーニングの仕事のことだけでなく、ビジネスに関わって新しい視点をもつことがトレーナーの仕事に生きてくる。だから、トレーナーとして運動を指導していないときは、多くのスタッフが会社のマネージメントに携わっている。トレーナーのスキルを身につけるとともに、会社のビジネスを通した経験をもつことでものの見方の幅が広がり、人と話をして良い方向に向かうようにサポートする「コーチング」に必ず生きてくると鈴木氏は考えているという。

(了)
【取材・文・構成:石井 ゆかり】

所在地:東京都渋谷区広尾1-3-14 ASAX広尾ビル2F
TEL:03-5447-1122
FAX:03-5447-1126
URL:http//www.r-body.com

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