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2019年11月07日 10:36

MMTのミッチェル教授が講演、「消費増税は信じ難い」「主流派経済学者は投獄」

講演するミッチェル氏(2019.11.5筆者撮影)

 MMT(現代貨幣理論)の創始者の1人で名付け親でもある、ニューカッスル大学(オーストラリア)のビル・ミッチェル教授が5日、国会内で講演し、我が国の3度目の消費税引き上げについて「信じ難いとしかいいようがない」とあきれるとともに、経済を予言できない主流派経済学者を「エンジニアなら投獄されるだろう」などと批判した。

 このシンポジウムは「MMTから考える日本経済の処方箋」と題され、京都大学レジリエンス実践ユニットが主催した。ステファニー・ケルトン教授(ニューヨーク州立大学)を招いた7月の講演に続く2回目。ミッチェル氏の他、藤井聡教授や青木泰樹特任教授、柴山桂太准教授(いずれも京大)が講演した。

 ミッチェル氏は「主流派経済学は、まったく問題を解決できていない」と切り出した。お金が絶対的に不足しながらハイパーインフレの脅威を叫び続けたことをやり玉に挙げ、日本の消費増税に言及した。

 「健全な経済成長が遂げられつつある局面で主流派経済学者が『インフレは恐ろしい』と政府に圧力をかけることによって、それを台無しにした。1997年の引き上げで景気後退が起きた。1回目の過ちから教訓を学ばず、2014年に再度の引き上げで景気を後退させたのは驚きだったが、今回(2019年10月)に至っては信じ難いとしか言いようがない」とあきれ顔をした。

 飲食料品への軽減税率やポイント還元制度など「緩衝材」を予算に組み入れたことで「ダメージは前回、前々回より時間がかかるかもしれない」としながらも、来夏には影響が出てくるとの見方を示した。

 「では、主流派経済学がこれを予見し、解決策を説明できるかといえば、ノー。藤井教授はエンジニアと聞いたが、もしエンジニアが主流派経済学者のようなひどい失敗を犯したら、彼らは過失で投獄されるだろう。リーマン・ショックの後も、教える内容は変わっていない」と批判した。

 ミッチェル氏は25年間MMTの普及に苦闘した経緯を話し、「パラダイムシフトは葬式のたびに起こる」と論客の交代を主張。麻生太郎財務相が4月、「日本を実験場にするつもりはない」とMMTを突き放したことに触れ、「ナンセンスで不正確。現実をまったく理解していない」と両断した。

 そのうえで、「MMTは我々が『たどり着こう』とする体制ではない。『MMTの政策は……』と語るのは的外れ。私たちの理論は通貨発行権のある政府の能力について理解を高める眼鏡のレンズである」と述べ、同理論があくまで理解の道具で、価値判断のともなう政策ではないことを強調した。

会場を埋め尽くした聴衆(2019.11.5筆者撮影)

 終了後の記者会見で、記者から財政赤字の拡大が金利を押し上げ、経済成長に支障を来さないかと問われた。ミッチェル氏は「それは主流派の神話を繰り返しているだけ。それが本当なら、日本にも(金利上昇が)起きているはず。公的債務の対GDP比率の高い国で、中央銀行が45%を保有し、バランスシートも膨れ上がっている。しかしながら、10年物国債の金利はマイナス。欧州中央銀行(ECB)も短期金利が現在マイナス1.5%。日本政府は今後も比較的規模の大きい赤字を抱えるべき」との見解を示した。

 別の記者は、10月に米ワシントンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議で財政政策を重視すべきとの意見が相次いだことに関連し、中央銀行の役割をただした。ミッチェル氏は、ECBのドラギ前総裁やフィリップ・ロウ豪州準備銀行(RBA)総裁がMMTや財政政策に注目する発言を紹介。

 「もはや金融政策に依存しても駄目との認識。財政政策の優位性が理解された新時代の幕開けだ。政治家は国民に対し、財政赤字は駄目と言い続けてきて、赤字を増やしていく説得をどのようにするのか」と課題を挙げる一方、政治家は現実的だから、必ずその手段を見付けると信じている」と期待を示した。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。

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