「様子見多く、高止まり」も 宗像が上がったことで下落局面へ(後)
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(株)第一鑑定リサーチ
代表取締役 吉田 稔 氏再開発や跡地活用の影響、周辺エリアにも波及
――天神と博多の状況はいかがでしょうか。
吉田 天神は天神ビッグバンによって今後、老朽化したビルが集約・建替されていくでしょう。福岡市都心部で計画されている再開発事業としては最大規模ですから、天神に大きなインパクトを与えることは間違いありません。
現在は、建替のための建物の取り壊しにともなう床の減少などでオフィスの賃貸市場は逼迫しており、賃料が値上がりしています。ただし、5年後に開発が完了して床が増えたとき、そこがどうなるかです。新築の再開発ビルはいいのでしょうが、古いビルや周辺エリアの賃料および稼働率は、下がる可能性も否定できません。
旧・青果市場跡地は、広域交通拠点である福岡空港、博多駅と近接した立地環境を踏まえ、地域や福岡市の魅力あるまちづくりに寄与する活用が期待されています。跡地活用が周辺に与える影響も大きいでしょう。
以前は、天神と博多の価格比が10対5程度であったものが、10対7程度になっていくイメージでしょう。とくに博多駅2丁目、3丁目の幹線背後地域は、現在、集中的に開発されていますから、以前とはまったく異なるまちになりつつあります。以前なら「ここが博多か?」と思うような寂れた印象だったまちが、再開発でどんどん刷新されています。これから、もっと変わっていくでしょう。
――竹下駅は博多駅から1駅ですし、利便性に優れているように思いますが、商業地として発展しないのはなぜでしょうか。
吉田 おっしゃる通り、利便性には優れたエリアですが、一歩入り込むとアパートばかりが建ち並ぶまちです。ファミリー層には持ち家としてはちょっと敬遠されるし、デベロッパーとしてもまとまった土地を手に入れづらいから、優良なマンションは少ないエリアといえます。住まいというのは投資対象として買う場合と、実際に購入者が住む場合があり、必ずしも後者ばかりではありません。このエリアは駅近で賃貸需要があるから、そうなっているわけです。道路事情があまり良くないので低層建物が多く、博多駅に近いのと郊外型店舗の進出により、商業地としての立地に優位性がなかったともいえます。ただ、青果市場跡地の再開発計画により、竹下駅周辺の地価は上昇しています。
(了)
【聞き手:鹿島 譲二/文:天野 ゆうじ】<プロフィール>
吉田 稔 (よしだ・みのる)
長崎県島原市出身。1981年3月、慶應義塾大学経済学部卒業。父親が定年後に不動産業を営んだことから86年2月、不動産鑑定士登録。95年3月、(株)第一鑑定リサーチを設立。母の言葉「真っすぐに生きなさい」を自らの指針とする。<Company Information>
代 表:吉田 稔
所在地:福岡市中央区大名2-2-50 大名DTビル6F
設 立:1995年3月
資本金:1,000万円
URL:http://www.daiichikantei.co.jp月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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