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2020年01月21日 11:00

LCCが9社に増え、韓国は世界最多に(後)

日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 韓国のLCC市場の状況をみてみよう。昨年11月に5社が新規に免許を申請したことに対して、今年3月に韓国政府はフライ江原と、エアプレミアとエアロケイに申請を許可している。フライ江原は襄陽(ヤンヤン)国際空港を拠点に、エアプレミアは仁川空港を拠点に、それからエアロケイは清州(チョンジュ)空港を拠点にしている。

 今回3社の申請に許可が下りたことによって、韓国のLCCは9社となり、世界最大となった。広大な土地と人口を抱えている米国と、同じ数の格安航空会社をもつことになり、過当競争に対する懸念の声も上がっている。ちなみに、日本は格安航空会社の数が8社、タイは6社、ドイツは5社、豪州は3社、フランスは1社である。

 韓国のLCCは日本路線が活況で、2015年以降高成長を謳歌していた。ところが、日本の輸出規制により日韓関係が冷え込み、そのあおりを受け、日本路線への需要が急激に減少している。それだけでも大変な状況なのに、新規参入で3社が加わることによって、過当競争が目に見えている。

 航空業界の専門家は、今後数年間、競争が続いたら、淘汰されるところも現れ、業界が再編されると予想している。今回の3社の新規許可については、需要の予測に基づいて許可がおりたのではなく、地域経済の活性という政治的な判断が優先されて許可がおりたのではないかという観測が支配的である。空港は建設したが、需要のあまりない空港に、路線を新設することで、需要を喚起していきたいという政府の狙いがあるというのだ。

 政府の狙い通りに需要があればよいのだが、需要がなければ、空港にも、航空会社にとっても、今回の決定は重荷となるだろう。さらに、パイロット、整備士などが限られているなかで、航空会社だけが新設されると、人材の奪い合いが発生し、どうしても非専門的な人材が穴を埋めることになり、安全面での問題などを心配する声を多い。

 このようにLCCが急成長しているように見えているなか、LCCが抱えている弱点ももちろんある。これはLCCに限ったことではなく、航空業界全般に当てはまる話かもしれないが、燃料の高騰は航空会社にとってはアキレス健である。とくに、LCCは価格的なメリットを全面に出して伸びてきただけに、価格の上昇には敏感である。コストを極限まで抑えて低料金を提供してきたのに、燃料代が上昇し、価格を上げざるを得なくなると、LCCには致命傷になる。

 既存の航空会社は比較的、価格に敏感に反応しない反面、格安航空会社の場合、顧客は価格に敏感に反応するのは間違いない。

 ところが、イランと米国との緊張が高まることによって、原油価格はじわじわと上昇している。石油価格の上昇は航空業界にとっては悪材料になるが、格安航空会社にとっては悪夢になりかねない。また石油価格の高騰はほかの物価への影響も大きく、経済成長力を引き下げる効果があり、航空業界にとってはダブルパンチになりかねない。米国が本当にイランを攻撃するようになり、ホルムズ海峡が封鎖されるようなことになったら、原油価格の100ドル時代に戻るかもしれない。日本と韓国のように資源のない国にはいろいろな意味で大変な時期が到来しそうだ。

(了)

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