2024年03月28日( 木 )

元会長(ゴーン)の国外逃亡~生き残れるか日産グループ(3)

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 日産自動車は1月7日、保釈中の前会長のゴーン被告が、「裁判所の定めた保釈条件に違反し、裁判所の出国許可を得ないまま、昨年12月30日、レバノン共和国へ逃亡したことは、日本の司法制度を無視した行為」だと非難し、「極めて遺憾」だとする声明を発表。引き続き同被告に対する責任追及を行っていくと明言した。

 【表1】を見ていただきたい。自動車メーカー8社の2年間(2018年1月31日~2020年1月31日)の月次株価推移表である。

※クリックで拡大

~この表から見えるもの~

・2年前と比較して今年1月31日の株価下落率が1位は三菱自動車。2年比▲396円の413円で▲48.9%。

・2位は日産自動車。2年比▲564.0円の599.5円で下落率は▲48.5%。

・3位はいすゞ自動車。2年比▲746円の1,093円で下落率は▲40.6%。いすゞまでの3社が下落率40%以上となっている。

・4位はマツダ。2年比▲595.5円の934円で下落率は▲38.9%。以下、下落率5位はホンダで▲26.0%。6位はSUBARUで▲23.7%。7位はスズキで▲19.2%となっている。

・トヨタだけが上昇している。2年比+172円の7,652円で、上昇率は2.3%となっている。

・自動車メーカー8社のうち2年間のスパンで見ると、上昇しているのはトヨタだけとなっている。残り7社の株価は下落しており、自動車業界全体が厳しい経営状況にあることが読み取れる。

・2018年11月19日、日産自動車のゴーン会長が「金融商品取引法違反」で、東京地検特捜部に逮捕された翌20日の株価は以下の通りとなっている。

・三菱自動車は前日比▲50円の680円(▲6.8%)。

・日産自動車は前日比▲54.8円の950.7円(▲5.5%)と、日産グループ2社が大きく下落。

・ホンダは前日比▲13円の3,166円(▲0.4%)。

・スズキは前日比▲7円の5,330円(▲0.1%)

・マツダは前日比▲1.0円の1,178.5円(▲0.1%)

・SUBARUは前日比+24.5円の2,551円(1.0%増)。

・いすゞは前日比+21.5円の1,597.5円(1.4%増)。

・トヨタは前日比+105円の6,717円(1.6%増)となっており、投資家の自動車メーカー各社に対する反応がうかがえる微妙な数字ではないだろうか。

<まとめ>

 日産自動車のゴーン会長が逮捕された翌2018年11月20日の株価と2020年2月6日の株価を比較すると、上昇しているのはトヨタとSUBARUの2社だけとなっている。

 残り6社のうち、三菱自動車と日産自動車2社の落ち込みは大きく、厳しい状況に変わりはないが、いすゞ、マツダ、ホンダ、スズキの4社の株価も下回っている。トヨタが1人勝ちの様相を呈しており、日産自動車は名を捨ててでも、大同団結に加わる以外に生き残る道はないのではないだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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