2024年12月10日( 火 )

山本太郎が下関でポスター張り、「恐い」滑り出し

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 次期衆院選で安倍首相の山口4区(下関市・長門市)に候補者を立てる宣言をしたれいわ新選組の山本太郎代表は6日昼、「アウェー」の下関市内で自らポスター張りを決行した。

「安倍政権をぶっ壊す」と満面の笑みを浮かべる(2020.2.6筆者撮影)
「安倍政権をぶっ壊す」と満面の笑みを浮かべる(2020.2.6筆者撮影)

 午後1時、下関駅前にはポスター張りを買って出たボランティア30人が集まった。そこへ山本氏が登場。「あっ、太郎さんだ」と携帯カメラを向ける市民に、「ポスターはなかなか厳しい仕事です。顔が知られている私でも、せいぜい1割くらいの成功率。一喜一憂せず、無理のない範囲で取り組んでください」と励ました。

 スタッフが市街地図を広げ、担当地域を割り振る。ボランティアは3班にわかれ、目的地域に移動した。山本氏も駅近くの商店街に「トップセールス」をかけた。

掲示依頼に商店へ入っていく山本氏(2020.2.6筆者撮影)
掲示依頼に商店へ入っていく山本氏(2020.2.6筆者撮影)

 途中、立体歩道の建設現場で作業員に声を掛け、チラシを渡す。一軒目は、焼き肉屋に飛び込んだ。1分ほどすると笑みを浮かべ出てくる。「オーケー」。いきなり許可を取り付けた。店内の間仕切りに掲示する。

 駄目元で隣の中華店にも入る。ここでもあっさり許可が下りた。前面の壁に張っていると、ご主人が出てくる。

 「こっちも張ったらどうけ」

 「えっ、いいんですか」

 空き地に隣接する白壁にも掲示を促される。歩行者にも車に乗った人にも目にとどまる位置だ。父に山本氏を知っていたか尋ねると、「知らんけど、よく張らせてくれって人が来るからな」。消費税廃止については、「そりゃ、なくなりゃあ、助かる」と答えた。

 店を一緒に切り盛りする奥さんは、「俳優しとったやろ。かっこええ」と山本氏に目を細める。筆者が「この辺は安倍さん人気が高いのでは」と向けると、顔をしかめ、「全然」と首を横に振った。

 山本氏は最初から2軒連続で張れたことについて、「ラッキーですわ。本当にありがたい」と喜んだが、すぐに「難しい地域だと思う。応援体制がしっかり根付いている。心で支持してないと思っていても、いえない空気があるだろう」と気を引き締める。

 一方で、「政治的意識を表面化されることは、日本社会ではタブーとされる。ポスター張りは、張れなくても玄関先で政治の話ができるから、意味が大きい」と意義を強調した。「7年間政権を担って、生活が楽になったか。今の政治はおかしいと思っている人でも、投票所で誰の名前を書くかは自由」と期待を抱く。

 結局、この日は2時間かけ全体で135軒訪ね、計37枚の掲示に成功。うち、山本氏が13枚張れた。松山市の130軒で12枚の成績(「山本太郎氏が松山市で囲み会見とポスター張り」)をはるかにしのぐ。

 この結果について山本氏は、夜の「おしゃべり会」で「反応が良かったというのが怖い。よその地域より、張れた枚数が多い。(2時間で10枚以上)チラシも受け取ってくれる。でも、名刺を差し出そうとすると、『いえ、いえ』と手を引っ込められた」と自虐的に報告した。

 テレビにほぼ取り上げられない「放送禁止物体」にとって、ポスター張りは党を知ってもらう最強のツール。敵の大将のお膝元でも、臆することはない。「市民による初めての政党建設」という大きな目標に向かい、山本太郎と仲間たちの地道な作業は続く。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)、『山本太郎がほえる〜野良犬の闘いが始まった』(Amazonオンデマンド)。ブログ『高橋清隆の文書館』

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