海外の事例から見る有望な不動産テックとは(前)
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(株)NTTデータ経営研究所
不動産テックでは、海外のさまざまな先進的取り組みが日本に流入していくのは、時間の問題だ。「海外の有望な成果を取り入れることによって、業界全体が盛り上がる」と期待しているのが、不動産テックのコンサルティングを行う(株)NTTデータ経営研究所・川戸温志氏だ。その川戸氏に、海外における最先端の不動産テックのシーズを聞いた。
オフィス・商業に伸び代
――今後、テクノロジーを活用することで伸びていく不動産の領域は、どこにあると考えますか。
川戸 オフィスビル、商業施設を軸にしたビジネスではないでしょうか。たとえば、アメリカの不動産テックにはCoStar(コースター)というデータビジネスの巨人が存在します。コースターはインターネット上でオフィスビルのオーナー、買い手、間取り、構造、広さ、賃料、売買成約率などの大量のデータを収集し、提供しています。日本でも2~3社が登場していますが、オフィスのデータベース領域には、まだまだチャンスがあります。
オフィスビルのマッチングサービスは、不動産情報サイト「SUUMO」のオフィス版と考えていただくとわかりやすいでしょうか。住宅では日本にも多くのマッチングサービスはありますが、オフィスビル領域はこれからです。コースターでは、「空室はどこか」「賃料価格はいくらか」などの情報がオープンとなっており、検索することが可能です。日本では、仲介会社がオウンドメディアで行っていますが、プラットフォームでのプレイヤーはまだまだ少ないのが現状です。
また、アメリカのTen-X Commercial(テンエックスコマーシャル)というプラットフォームは、売買のマッチングから契約までの一気通貫の作業をオンライン上で行うことが可能です。たとえば、ウェブ上でオフィスビルなどの事業用不動産のオークションを行えます。参加者は事前登録したうえで、公開された情報をチェックし、一番高い値で入札した人に取得する権利が与えられるというものです。
住宅領域でも余地は十分
――データベースという上流の分野を抑えることが重要になるということでしょうか。
川戸 日本では、高度成長期からバブル期に至るまでサプライヤー側が強かったことで、顧客管理(CRM)せず、良い物件があれば目の前にいる顧客に販売するという商習慣が続きました。しかし、今後はCRMを基に、購入した顧客が10年後に住み替えるときを狙って提案することが大切になります。CRMのツールは一部開発されていますが、海外と比較すると十分ではありません。
これからは、不動産業界でもCRMの概念が広がっていくでしょう。これまで顧客とは対面で接することが多かったのですが、今後は住宅購入のきっかけの7~8割はウェブになっていくでしょう。ウェブから入ってきた顧客を管理することが肝要で、CRMやマーケティングオートメーションが間違いなく重要になります。
(つづく)
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