不動産とテクノロジーの融合目指し、既存の業界とテック企業を結ぶ(後)
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(一社)不動産テック協会 代表理事 赤木 正幸
(リマールエステート(株) 代表取締役)2018年9月、(一社)不動産テック協会は不動産とテクノロジーの融合を促進し、不動産に係る事業ならびに不動産業の健全な発展を図るため設立された。これまで協会では、不動産テックのカオスマップ作成や会員向けセミナー、イベントの開催を手がけてきた。さまざまなテック企業が生まれてはいるものの、依然として既存の業界から完全に受け入れられているとはいえないのが現状だろう。そのような現状の課題や、テック企業の採るべき戦略について、不動産テック協会代表理事・赤木正幸氏に話をうかがった。
絞り込みがポイント
――逆に、導入に至らないサービスとは。
赤木 汎用性が高いサービスを、不動産業者はあまり使ってくれません。一言で不動産業といっても、売買、賃貸、仲介、管理など非常に幅が広く、行っている業務もかなり変わってきます。業務支援系のサービスでいえば、売買でも業者向け、消費者向け、投資家向けなどで扱う商品は異なりますし、それぞれに合った、特化したサービスでないとダメですね。ただし、特化すると事業がスケールしにくいというジレンマもあります。このあたりの見極めがテック側にとって、大きなポイントになるでしょうが、最低限絞り込んで始めることが大事です。
不動産業者がテックに参入する例も出てきていますが、その場合は得意なところをしっかり掘り下げると、成功確率が高くなると思います。この“ニッチさ”というのが重要です。テックに参入すると、「これもやれる」「あれもやれる」と領域を広げがちなので、強みのポイントを絞り込むのが、まずは重要なのではないでしょうか。
テックは業界に歩み寄れ
――最後に、テック企業の方々にアドバイスをいただけますか。
赤木 不動産業界にはテックは必要ですが、このように壁も高いので、花開く前にテック側が店じまいする例も少なくありません。協会はこの壁を少しでも低くして、業界がより便利に、より稼げるようにしてきたい。
テックの人から、「不動産業者と距離を感じる」という相談を受けたことがあります。相手は営業先ですし、まずは自ら歩み寄ることが大事です。「Tシャツにこだわらず、スーツを着て話してみたら」と伝えましたが、相手の文化を尊重することも、双方が協力できるようになるためには大事なことだと思います。とくにBtoBの場合、一般向けのサービスではありませんし、良いサービスを供給しても、まずは知ってもらって、売り込まなければ売れません。
キマールでも、開発当初はネットで告知するためにSEO対策を業者に依頼したところ、「意味ないよ」と断られました。「不動産の業務支援」なんかで検索している人はいないからだそうです。たしかにそうだなと、アナログ営業に転換しました。テレアポでも難しいので、既知の人脈を頼ったり、手書きの手紙を送ったりと超アナログ戦略でしたが、効果はありました。サービスはスマートでなければなりませんが、営業手法までスマートにしなければならないわけではありませんし、そこはテック側も柔軟にしていく必要があります。不動産は多岐にわたるビジネスが混在しており、だからこそ非効率も存在します。これまで述べてきたように、テック側にも課題は山積していますが、協会の活動を通じて、不動産側の方々と一緒に業界を良くしていきたいですね。
(了)
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