三菱地所は「うめきた」に何をつくり出すか?(前)
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三菱地所(株) 関西支店 うめきた開発推進室・グランフロント大阪室 主事
中田 真人 氏/山本 遼 氏うめきた2期の再開発を担うのは、三菱地所(株)を代表企業とするJV9社の開発事業者と、6社の設計・運営事業者からなるコンソーシアムだ。2013年4月に開業した「グランフロント大阪」(以下、GFO)も、同じく三菱地所を代表企業とするグループが手がけた。三菱地所と聞くと、東京・丸の内のイメージが強いが、うめきた再開発は、“東の丸の内”と対をなす、同社の“西の牙城”という観がある。同社にとって、「大阪最後の一等地」といわれるうめきた再開発への参加はどういう意味をもつのか。前代未聞の「みどり」と「イノベーション」という相反するまちづくりコンセプトを、どう具現化するのか。GFOの評価、東京と大阪の不動産マーケットの違いなどを含め、同社担当者に話を聞いた。
うめきた再開発で関西のプレゼンスを確立
――三菱地所では、うめきたの再開発をどう位置づけているのでしょうか。
中田 弊社にとってGFOは、関西で初めての大規模複合開発プロジェクトでした。これが、関西での弊社のプレゼンスを示すうえで、大きなきっかけになっています。これをきっかけに、関西の開発案件を続けて受注することができました。そういう意味でも、GFOは弊社にとって非常に大きな意味をもっています。
――関西の開発案件には、ほかにどういうものがありますか。
中田 たとえば、京都府城陽市のアウトレットモールの開発(約27ha)や、京都市内のホテル開発も手がけているほか、大阪でも北摂で物流施設の開発を進めています。また、神戸市では、三宮駅近くのバスターミナルなどが入るビルの再開発にも参加するなど、コンスタントに開発プロジェクトを獲得してきています。
「活動の場」として「みどり」を活用する
――再開発コンセプトの「みどり」は非常にユニークですが、一方で、収益面では不利ではないでしょうか。
中田 たしかに、「みどり」は、通常のビル開発と単純に比較すると、収益的に不利な面はあるかもしれません。ただ、当然ながら、十分に採算性は取れるという見立てで、このプロジェクトに取り組んでいます。
――うめきた2期のコンセプトに「希望の杜−Osaka“MIDORI”LIFE 2070の創造−」を掲げていますが、「みどり」にはどのようにアプローチしていきますか。
中田 「みどり」は、うめきた2期の大きな特長です。大都市の駅前の一等地に、これだけの「みどり」の空間を備えた開発は、ほかに類がありません。そのため、従来の開発とはまったく異なるアプローチが必要になります。
我々はこの「みどり」のあり方について、単なる緑化とはまったく別物だと考えています。まちづくり方針を見ても「みどり」というように、ひらがなで、かぎカッコ付きで書かれており、単なる緑化ではないことがうかがえます。
我々は「みどり」を、「1つの活動の場」だと捉えています。何も収益を生み出さない単なる緑化というわけではありません。「みどり」の空間をいかに活用し、いかに人を集め、まちの魅力を高めていくかが重要です。「みどり」というものをどう取り込んで、どう再開発するか――。この点、まさに我々の頭の使いどころだと考えています。
――その詳細が知りたいところです。
中田 現時点では具体的なことはいえませんが、人々が憩う場としての機能だけでなく、さまざまなイベントを開くことなどが考えられます。また、まちづくりのもう1つの目標である「イノベーション」を生むために、この「みどり」をどう活用していくかという視点も必要です。今まさに、共同事業者とともに議論を重ね、企画を練っているところです。
――従来型ではない空間づくりを目指しているといえるのでしょうか。
中田 それはそういえます。従来の複合型の開発とは、一線を画したものになるでしょう。
GFOは「大阪の名所」になった
――先行開発したGFOについては、どう評価されていますか。
中田 GFOは、開業してからもうすぐ7年が経ちますが、毎年5,000万人以上が訪れています。このGFO開業によって、人の流れが大きく変わりました。大阪に新しい名所ができたと自負しています。まちづくりに終わりはありませんが、良い開発ができたと考えています。また、2012年に弊社を含めた12社で構成される(一社)グランフロント大阪TMOというマネジメント組織を設立しており、うめきた周辺を含めたまちづくりを担っているところです。
――ただし、GFOでも当初はテナント集めに苦労されたようですが・・・。
中田 たしかにテナントに関しては、まちびらき当初はマーケットの動きはあまり良くありませんでした。当然ながら、マーケットの波に逆らうことはできません。ただ、リーシングに時間を要したのは事実ですが、現在は満室になっています。ほかの競合物件に比べても、「選んでもらえるビル」であることは間違いないと思っています。
山本 大阪のオフィスマーケットは、元々は淀屋橋や本町などのエリアが中心でしたが、近年は、北区にマーケットが移ってきていると考えています。
――先行開発の教訓は、2期の開発でいかされるのでしょうか。
中田 具体的にはいえませんが、先行開発の際には、いくつかの課題にも直面しました。2期では、それらを解決したうえで、開発を進めていくつもりです。
(つづく)
【大石 恭正】グランフロント大阪
南館(高さ約179m)、北館タワーB(高さ約175m)、北館タワーC(高さ約154m)から成るショップ、オフィス、ホテルなどが入る複合商業施設。関連記事
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