2024年06月20日( 木 )

従来型から脱却した医療経営 地域とつくる医療ネットワークとは(前)

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医療法人社団如水会 今村病院
理事長・院長 今村  一郎  氏

 佐賀県鳥栖市で45年以上にわたって地域医療に携わる医療法人社団如水会 今村病院。超高齢化社会を迎える2025年問題や独自の企業経営としての角度から、急性期病院への転換、ほかにない医療施設サービスの提供や雇用体制の導入、エリア連携による地域医療の新しい事業形態をつくり上げようとしている。

地域のニーズに対応し急性期病院へ転換

今村 一郎 氏

 ――昨年、院長就任10年目を迎えられました。

 今村 1974年に今村外科として父が創業して、今年で46年目になります。私は大学卒業して3年目に医師として当院に赴任したのですが、当時はこの地域の救急医療体制が充実しておらず、二次、三次救急(重症・重篤患者に対する高度な救急医療)指定の病院は久留米市にしかありませんでした。これでは搬送に時間がかかってしまい、悔しい思いをしたこともありました。

 こうした状況から、急性期病院(急性疾患または重症患者の治療を24時間体制で行う病院)への方向転換が必要だと考えていました。院内には、創業者を始め従来型の医療を維持していく声もありましたが、将来を見据えて急性期への転換を決意しました。救急病棟を建て、医療機器の設備をそろえ、脳神神経外科や循環器内科の医師に参画してもらいました。結果として、救急患者数や手術数も増え、グループ全体の従業員数も3倍の約910名となりました。地域の雇用にも貢献できているのではないかと思っています。

 病床数は一般病床105床、回復期リハビリテーション病棟30床、地域包括ケア病棟44床の計179床です。さまざまな専門医にも加わっていただきました。重篤・重症の患者を受け入れ可能な体制で、地域の皆さまに急性期医療を中心とした医療を提供できています。佐賀県の地域医療構想会議でも、当院が佐賀県の基幹病院に認定していただきました。

 ――理事長就任時に、理念・組織変革に注力されたとうかがいました。

 今村 私が当院を引き継いでから、理念を「すべての人に健康という幸せを提供し続ける」に変更しました。当院では医療のほか、健康診断事業、介護、保育事業も行っています。理念に掲げる「健康」とは、身体的、精神的、社会的な健康も含みます。社会的な健康というのは、職場や家庭での人間関係がうまくいって初めてできるものと思っています。

 ――人材採用について教えてください。

 今村 部署によっては応募があれば、ほぼ採用しているというところもありますが、これまでの経験上、まず医療人としてというより、社会人として誠実な人材を採用しています。私は、人間関係には信頼が最も重要だと考えております。

 隣の久留米市には、いくつも大病院がありますので、当院は決して大きな病院になることを目指してはいません。地域に密着した、地域に貢献できる医療を目指すにあたり、できるだけ専門性の高い医師・スタッフを集められるよう、充実した設備・施設・労働条件を提供することを心がけています。どこの病院も人手不足による残業増など、労働環境が厳しいようですが、当院はできるだけ良い環境にしようと、残業はほとんどありません。

 離職率も低く、80代のスタッフもいます。福利厚生という部分では、毎年慰安旅行を計画しています。とにかく「仕事の疲れを取ってほしい」という目的で、家族またはカップルでも旅行ができるようにしています。一般企業のような上司・部下などとの旅行だと気を遣い無理をしますので、そうした環境を提供しないと心身ともにリフレッシュできないかと思い、このようにしました。

(つづく)

【小山 仁】


Information
理事長:今村 一郎
所在地:佐賀県鳥栖市轟木町1523-6
設 立:1974年4月
TEL:0942-82-5550
URL:http://www.josuikai.or.jp


Profile
今村 一郎
(いまむら・いちろう)
1968年生まれ。92年に久留米大学医学部卒業後、同大学病院第二外科に入局。93年に聖マリア病院外科、2005年九州大学病院第二外科に勤務後、08年から現在の医療法人社団如水会 今村病院に勤務し、09年に理事長に就任した。日本外科学会認定医、日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、日本外科学会 認定医・専門医・指導医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本超音波医学会 専門医、人間ドック専門医 日本医師会産業医・専攻医、健康スポーツ医。

(後)

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