2024年03月19日( 火 )

地域の力を活かした北九州市版CCRC

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地方創生への挑戦

 少子高齢化が加速度的に進む北九州市。人口も1979年の106万8,415人をピークに減少傾向が続き、2020年2月時点の人口は93万8,758人となっている(北九州市公表「令和2年推計人口」参照)。

 人口減によってまちの活力が低下していくなか、北九州市では「地方創生」をテーマの1つとして掲げた。多角的なアプローチにより、「都会+田舎」という新しいイメージを北九州市に醸成しようとしているのだ。実現に向けては複数の事業が水平展開されており、定住・移住促進事業では、北九州市の東京事務所(東京交通会館内)に移住相談員を配置。首都圏からの移住希望者へ働きかけている。市内においても、移住希望者の相談などに対応する移住コーディネーターと連携するなど、支援体制を整える。また、実際に移住する前に市での生活を体験できるように「お試し居住」制度を設け、前述の移住コーディネーター支援の下、企業見学や地域活動見学もできるようになっている。

 居住エリアは、JRスペースワールド駅から徒歩7分(八幡東区)のところに用意された。市が水素タウンの実証実験に向けて整備したモデルルーム3部屋を活用したもので、幅広い年代の方々に利用されている。

 このほかにも、U・Iターン応援プロジェクトや、シニア層の活躍を促進するセカンドキャリア支援プロジェクトなど、自助自立によってまちの活況を取り戻すため、さまざまな試みがなされている。

CCRC進む北九州市

 北九州市が取り組む地方創生には、誰もが生涯健康に過ごせるまちづくりを目指す「CCRC(生涯活躍のまち)」も含まれている。そして、この「北九州市版CCRC」は、市の強みを再認識するきっかけにもつながっている。

 「市としてCCRCへの取り組みを始めたのが2015年度、本格的に始動したのは翌16年度からです。これに合わせて、市では6地区()をCCRCのモデルエリアに選定させていただきました。市が活動内容を制限することは一切なく、各地区で中心的に活動する事業者さまそれぞれの独自の取り組みによって、地域づくりを行っていただいております。なかでも、洞南(どうなん)地区と守恒(もりつね)周辺地区の取り組みは、多世代交流を可能とするコミュニティ形成に成功しており、CCRCを始める際の参考になるかと思われます。CCRCのために新たにハードを整備するのではなく、元々医療・介護の連携や健康づくりに取り組んできた事業者さまが存在しており、その活動を市の財産として活用できたことが、早い段階で成果を出せている要因だと思われます」(北九州市企画調整局若者担当係長・西原克幸氏)。

 それぞれの地域の自主性を尊重するかたちで進んでいる北九州市版CCRC。今後は、どのように発展させていくのだろうか。

 「5カ年の計画で動いているCCRCですが、現状、シニア層をメインターゲットとする取り組みになっていますので、今後は若年層、子育て世代も巻き込んだ全世代対応型のまちづくり構想として取り組んでいきたいと考えております。国の方でも20年度からはCCRCの第二期と位置づけて、同様の動きを加速させていこうとしていますので、市のやりたいことと方向性は同じだと思います。目標を達成するためにも、官民や組織の壁を超えた、幅広な連携が今後ますます必要となってくるでしょう」(西原係長)。

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 あくまでも、地域を主役とする北九州市版CCRC。大都市における生涯活躍のまちのモデルケースとして、これからCCRCに取り組む地方自治体にとって、参考になる部分は少なくないはずだ。

【代 源太朗】

※洞南地区、黒崎周辺地区、一枝周辺地区、八幡駅周辺地区、山路松尾・高尾周辺地区、守恒周辺地区^


お試し居住
対象者:北九州市外在住で、北九州市への移住を検討している方
参加期間:1週間以上(原則3週間まで)
利用住居:3部屋(2LDKメゾネットタイプ / 1LDKメゾネットタイプ)
     JRスペースワールド駅から徒歩7分
参加料:最初の1週間は1万円。以降、1日ごとに1,000円

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