NTTとトヨタ自動車の業務資本提携で動き出す「スマートシティプラットフォーム」
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2020年06月01日 09:00

NTTとトヨタ自動車の業務資本提携で動き出す「スマートシティプラットフォーム」

 3月24日、NTTとトヨタ自動車(株)との業務資本提携の締結が発表された。両社は「スマートシティ構想」の実現のため、プラットフォームを共同で構築・運営する方針だという。自動運転や自動配送、スマートホームなどの広範囲での実用化に向けて、静岡県裾野市東富士エリアと東京都港区品川エリアの先行モデル都市でまず実装し、全国都市への展開を予定している。

東富士と品川エリアの先行モデル都市で実証

 あらゆる人やモノ、サービスがインターネットでつながる「スマートシティ」。今年3月24日にNTTとトヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、スマートシティ実現に向けて約2,000億円の株式を相互取得する業務資本提携を発表し、大きく動き出した。まずは先行モデル都市を静岡県裾野市東富士エリアと東京都港区品川エリアにつくり、いずれは全国展開を予定している。

 NTTとトヨタが共同構築する「スマートシティプラットフォーム」。スマートシティのデータを集めて人や車の流れの“見える化”や予測を行う「データマネジメント」や、仮想空間でリアルタイムにまちを再現して試行結果をフィードバックする「デジタルツイン」のほか、他プラットフォームとの連携などによって集めたデータをまちづくりに役立て、住民や企業、行政などにさまざまなサービスを提供していく。

自動運転車が走り地下では配送ロボットが活躍

 2021年初めに静岡県裾野市で着工予定のトヨタの実証都市「コネクティッド・シティ」は、20年末に閉鎖予定のトヨタ自動車東日本(株)・東富士工場の跡地に新しいまちをつくるもの。「Woven city(ウーヴン・シティ)」と命名されたそのまちは、トヨタ社員や家族など約2,000人が暮らし、働き、遊ぶ場所だ。面積は約70.8万m2で、Google新本社ビルの設計で知られるBjarke Ingels Group(ビャルケ・インゲルス・グループ)創業者のデンマーク建築家のビャルケ・インゲルス氏が設計する。いったい、どのようなまちになるのだろうか――。

 まず、普通のまちであれば車もバイクも人も通る道路を、3つの道に分ける。1つ目は、インターネットにつながった自動運転車専用の道。2つ目は、歩行者やスピードの遅い1~2人乗りの小型電動車の「パーソナルモビリティ」向けの道。そして3つ目は、歩行者専用の道になる。すべての交通手段を1つのサービスに集めて、インターネットからルート検索ができて、渋滞解消につながる「MaaS(統合型移動サービス)」を目指す。

 基本的なまちのインフラは、地下に集約。配送ロボットが地下のスペースを通って荷物を運び、真上にある建物の部屋まで直接届く仕組みだ。また、まちで使用する電力は、地下に燃料電池発電所をつくるほか、太陽光発電パネルを各建物の屋根に設置して賄う。建物はカーボンニュートラルの木材を主に使い、ロボットを活用してつくる。住宅は「スマートホーム」だ。AI(人工知能)センサーやロボットアームを活用して冷蔵庫に自動で食品が補充され、ゴミ出しも自動化、さらに住んでいる人の健康もAIセンサーでチェックできる。さらに、まちには自動運転の電気自動車「e-Palette(イーパレット)」が走る。ライドシェアでの人の移動や配達のほか、人が集まる広場では移動用店舗になり、市場を形成するという。

 これまでトヨタは、米国ミシガン大学の走行実験施設で市街地を再現したミニタウン「M-city(エムシティ)」で自動運転を実験してきた。17年3月からは、NTTとトヨタが共同で、事故や渋滞などの解決を目指して外部と情報のやり取りができる「コネクティッドカー」向けICT(情報通信技術)基盤を開発してきたが、今回はさらにまちづくりまで協業を広げる。

 「Woven city」では、人や建物、自動車などあらゆるもののデータをセンサーから集めて、AIを活用した技術を検証する。今後は、パートナー企業や研究者と連携してまちづくりを行うために、参画する企業を募るという。

「Woven-city」イメージ

データ連携の「壁」がスマートシティの次の課題

 NTTはこれまで福岡、札幌、千葉、横浜などの自治体と、スマートシティプロジェクトで協業してきた。18年12月のラスベガス市のスマートシティ実証プロジェクトでは、街中のセンサーから集めたビッグデータから、まちで起きた事件や事故を迅速に検知してAIで分析し、予測する公共安全システムをつくっている。

 スマートシティでは、自動運転や自動配送、遠隔教育、顔認証によるキャッシュレス決済、自動ゴミ収集、遠隔医療など、さまざまなサービスの実現が想定されている。そのためには、分野を越えてデータを連携させる基盤づくりが欠かせない。だが、今現在はサービスや組織ごとにデータが管理されているため、サービスや組織の壁を越えてデータを見ることができない。スマートシティのビッグデータを効率的にやり取り可能なように、NTTは大規模のデータ容量を低遅延で利用できる光技術「IOWN(アイオン)」を開発し、30年をメドに実用化を目指している。

 東京都港区の品川駅前のNTT街区の一部で実装するモデル都市では、さまざまなスマートシティのサービスを提供する企業に対して、AIやビッグデータを活用する情報通信の基盤をつくっていく。NTTとトヨタは今回の資本業務提携で、これまでの事業の枠を越えて、AIやビッグデータが広く普及する時代の新たなインフラサービスの“コロンブスの卵”を狙う。

【石井 ゆかり】

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