居住ゾーンを第一交通グループが開発~旧門司競輪場跡地・再開発プロジェクト(前)
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2020年06月04日 16:27

居住ゾーンを第一交通グループが開発~旧門司競輪場跡地・再開発プロジェクト(前)

地域の利便性向上へ「自然と調和」のまち

 2002年3月末に廃止となった旧門司競輪場の跡地約4.8haを活用し、北九州市が公共施設の集約・多機能化を目指している「モデルプロジェクト再配置計画(大里地域)」。同プロジェクトにおいて、跡地の一部である居住ゾーン(約1.35ha)で住宅開発を行う事業予定者として、第一交通産業(株)と第一ホーム(株)からなるグループが決定した。

 選定は公募型プロポーザル(総合評価方式)によって行われ、同社グループを含めて4事業者が参加。同地の買受希望価格11億3,500万円を提示し、総合評価点で1位となったことで、同社グループの獲得となった。事業者検討会では同社グループの提案内容に対して、「住宅地における共有財産のシェアは新しい発想」「地域住民のニーズに合った商業テナント誘致は魅力的」――といったような評価が下された。また、北九州市の担当課も「環境負荷の軽減が期待できる」「地域住民の利便性向上が期待できる」「買受希望価格が高い評価」などを、事業予定者の決定理由として挙げている。

 今回の居住ゾーンでの開発プロジェクトにおいて、第一交通グループが開発コンセプトとして掲げているのは「自然と調和のとれた街づくり」。居住ゾーンの南側に拡張・開発される大里公園や、その背後に広がる門司の山並みとの調和を強く意識し、ゾーン内では緑地帯などの緑を取り入れた街並みを形成。門司の海側から見た際に、連続した緑豊かな景観が生み出されるように配慮していく。

 ゾーン内での住宅開発は、20階建・80戸の共同住宅と、20戸の戸建住宅の2種類を予定する。共同住宅は、第一交通産業の分譲マンションブランド「グランドパレス」シリーズになる予定で、延床面積平均は1戸あたり78.97m2。その特徴として、マンション内で共有財産を有効的にシェアする、次世代型の理想的な暮らしを実現した“シェアマンション”という仕組みが取り入れられていることが挙げられる。これは、今年10月に竣工予定の同社の「グランドパレス黒崎ランドマークス」(八幡西区黒崎、19階建・155戸)でも先行的に取り入れられているもので、高圧洗浄機やバーベキューセットなどの「毎日は使わないけれど、年に数回使えると便利」なアイテムなどを、住民の共有財産としてシェアし合うというもの。また、自転車やベビーカー、車イスなどの移動アイテムのシェアも行うほか、レンタカーサービスやタクシー待機用駐車場なども設置し、本業であるタクシー会社の強みを活かした交通関連のサービスも充実させる。

 さらに、電気自動車用の充電用駐車場も設置するなど、環境負荷の軽減にも配慮。エコで無駄のない暮らしを実現させることで、市が掲げている「コンパクトシティ」形成によるまちづくりの考え方にも合致させる。販売価格は3LDKで平均3,000万円弱、4LDKで平均3,500万円を想定している。

 一方の戸建住宅は、第一ホームの新築建売住宅「ユニエクセラン」シリーズを予定しており、1戸あたりの土地面積は平均173.37m2。建売住宅にするか、注文住宅にするかは現時点では定められていないが、購買予定者のニーズに沿うかたちで、検討を進めていくという。また、戸建住宅は居住ゾーンのなかでも前述の大里公園などと隣接する場所での開発が計画されており、各戸では緑の植栽を多く取り入れるなどして、緑の連続性をもたせることが考えられているが、戸建住宅エリアの街並みコンセプトなどは今後検討される予定。戸建住宅の販売価格は、3,500万円前後を想定している。

 ゾーン内ではほかに、生活利便・支援施設となる商業施設の開発も計画されている。具体的なテナント名については、まだ交渉の段階だが、食品・日用品・化粧品・酒類などの幅広い商品を取り扱う商業テナントを誘致したい考え。今回の開発地は、最寄りとなるJR門司駅から約700mの距離にあるが、駅からは山側に向かってやや傾斜を上った場所となっている。現状、食品スーパーなどは駅近辺に集中しており、周辺の地域住民にとっては買い物利便性に乏しかったが、今回の開発で商業テナントを誘致することで、マンションや戸建の新たな居住者のためだけでなく、地域住民の利便性向上につなげたい考えだ。

 全体的なスケジュールは、21年6月ごろをメドに建築に先立つ全体的な基盤整備を終わらせ、翌7月から商業施設、戸建住宅、マンションのほぼ同時期の着工を予定。22年4月初めに先行して商業施設が開業し、続いて戸建住宅が同じく4月に完成。23年5月にマンションが完成予定となっている。

第一交通産業(株) 分譲事業部 北九州支店
支店長 平安寺 勇 氏

 当社ではこれまで、北九州市内を始めとした福岡県内だけでなく、いろいろなエリアでマンションの供給を行ってきました。今回の門司エリアでも、数多くのマンションの供給実績があります。また、昨年は新宮町で「アーバンパレス新宮中央駅前」および「アーバンモール新宮中央」というマンションと商業施設との一体開発を行うなど、さまざまなかたちでの開発の経験やノウハウを蓄積しています。

 今回の門司競輪場跡地での開発では、これまでに培ってきた経験やノウハウを最大限に活用しながら、新たな入居者だけでなく既存の地域住民の利便性向上にも寄与する、自然と調和のとれた魅力的なまちづくりを、いろいろな知恵を絞りながら進めていきたいと思っています。

交通結節点として――門司・大里の栄枯盛衰

 門司は、関門海峡の南岸に位置する地理的特性から、古くより交易上の拠点として、そして本州と九州とを結ぶ戦略上の重要拠点として位置づけられてきた。

 明治期に入ると、その立地を活かして門司の地で鉄道と港とを直結させようという機運が高まり、国は1888(明治21)年に門司を起点とする鉄道建設を許可。同年、九州最初の鉄道会社として「九州鉄道会社」が誕生した。一方で、翌89年には「門司築港株式会社」が誕生し、門司港の埋め立て工事に着手。その後、門司港は国から石炭・米・麦・硫黄・小麦粉の5品目の特別輸出港に指定されたことで、外国貿易港の仲間入りをはたすことになる。九州では長崎、博多に次いで3番目の指定だった。そして、91年には九州鉄道が博多から門司駅(現・JR門司港駅)の区間まで延伸されたことにともない、大里駅(現・JR門司駅)も開業。鉄道と港との結節点となったことで、門司のまちは筑豊からの石炭の輸出港として大きく発展。99(明治32)年には、北九州の5市(門司、小倉、戸畑、八幡、若松)のなかで最も早く「門司市」となった。

 門司市のなかでも大里地域では、1904年に大里製糖所(現・関門製糖(株))、11年に大里製粉所(現・日本製粉(株))や九州電線製造所(現・古河電気工業(株))、13年に帝国麦酒(現・サッポロビール(株))などの工場が、鉄道の走る海岸沿いの一帯に相次いで開業。工場地帯を形成しながら、港と鉄道と工場とを結ぶ産業都市としての発展を遂げていった。

(つづく)

【坂田 憲治】

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