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2020年07月02日 17:27

IT化とデータ可視化の推進でジョブ型への対応を(前)

ナレッジスイート(株)
代表取締役社長 稲葉 雄一 氏

 新型コロナウイルス感染症対策によりテレワークが普及したとはいえ、ジョブ型に完全に移行できるわけではなく、経営者・社員双方にとって適切な雇用形態の模索が続くであろう。
 東証マザーズ上場のナレッジスイート(株)の提供するサービスは社内の無形のノウハウの可視化・資産化を推進し、業務の効率性向上、リスクヘッジに役立つものであり、地方の企業、中小企業のデジタルシフトを後押しするものだ。コロナによる社会環境の変化などについて、代表取締役社長・稲葉雄一氏に話をうかがった。

(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)

社会の環境変化とテレワーク

 ――コロナでデジタルシフトが急速に進んでいることについて、どう評価しますか。

 稲葉雄一氏(以下、稲葉) 中小企業も含めてコロナによるテレワークとよく言われていますが、テレワークという言葉は、経営者または従業員のどちらに向けて発せられているかで意味が異なります。従業員にとっては効率的で夢のある動きだと思います。他方、経営者の目には、労働基準局が定める労働法に逆行するものとして映ります。今の変化により「テレワークによるテレワーク社員」という言葉が生まれました。業務委託、一年契約という通常の社員とは完全に異なる雇用形態によって、会社が負担する領域を極力削減する言葉に成り下がっています。

 私たちとしては、どちらを推進すべきなのか悩ましいところです。米国では企業がレイオフを自由に行い、また社員が成果を生んでいなければすぐに解雇しますが、日本ではそれはできません。

 ――テレワークのもとでは社員をアウトプットやアウトカムでしか評価できなくなると思います。新型コロナウイルスにより、米国のジョブ型のスタイルに移行していくのでしょうか。

 稲葉 私個人はその方向に向かうと思いたいのですが、一気にドラスティックに移行するとなると、400万社ある会社が成り立っていけるのかという懸念があります。中小企業と大企業とでは、社員1人あたりの重み、業務の内容が大きく異なります。会社として特定の社員に依存する状態のままジョブ型に移行するとなると、その社員がうまくいかない場合に大きなリスクを抱えることになります。数年前に個人事業主にアウトソーシングを発注する際のリスクが焦点となりました。発注後に途中で放棄されてしまうケースが続出したのですが、業務委託はそれに近く、個人が「成果」を出せないことへのリスクを負いきれないのです。

 社員の側からみた問題として、社員は会社に守られている環境において、「自由」を「楽」としてとらえる傾向があることが挙げられます。そもそもジョブ型では、経営者側はそのジョブを8時間分の労働に相当するものとして従業員に課し、生産性、効率性を考えますが、社員は同じ対価であれば8時間でなく3時間で終わらせようと考えます。

 ジョブ型はそのように3時間で終わらせられる社員に対してとくに効果的であり、テレワークにより、ジョブの完了時期、生産性の向上と開発の進展が可視化されていくのであれば、その社員にとっても自身が働きやすい環境で大きなミッションを行え、プラスということになります。経営者にとっても、その社員には3時間分の給与を支払えばよいため、コストカットできます。

 ――今後、会社と個人とはどのような関係にあるのがベターでしょうか。

 稲葉 人間同士の関わり方が重要だと思っています。面と向かって会って、何かあったときにすぐその場で声をかけられる状況が大事であり、生身の人間として話し合う場が必要だと思っています。しかし、オンラインでは、人間の肌感覚、温度差、あうんの呼吸などが感じられず、必要なときにすぐ声をかけることができません。

 オンラインのツールが普及しても、人との交流の場がそれに移行したとはいえないでしょう。人間はほかの人の性格、間、仕草などに対し、好き嫌いが出るものですが、これらはオンラインのなかでは見えづらいものです。また、当社の社員が「仲間と会えないのが寂しい」とよく言っており、そこからは、オンラインで会っていても実際には会っていないという感覚があることがうかがえます。

(つづく)

【文・構成:茅野 雅弘】

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<COMPANY INFORMATION>
ナレッジスイート(株)

代 表:稲葉 雄一
所在地:東京都港区虎ノ門3-18-19
設 立:2006年10月
資本金:6億8,110万円
売上高:(19/9)21億5,994万円

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