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2020年07月16日 11:11

お仏壇のはせがわ中興の祖・長谷川裕一氏の経営者としての最終的総括(4)2000年公的経営活動においても信用失墜

 経営者として2000年3月期において特別損失14.8億円計上することで長谷川裕一氏の責任が浮上した。ここから社長辞任へのスタートが始まった。同じことが同時に進行した。経済人としての公的活動の場で信用を失ったのである。同氏にとって2000年という年はまさしく禍の年、否それをはるかに超え、過去に築いた栄光の崩壊が始まる暗転の年であったのだ。ちょうど60歳の厄年に当たっていた。

自力で親分になる経済団体を立ち上げる

 長谷川氏は直方で親分風を吹かせ、福岡市に本社を移転させてきたものの、新参者扱いを受けた。しかし、「何としても若手経営者たちを結集して存分に旗振りをしたい」という気落ちで勇んでいた。上場させたことにより絶大な信用を得て、各方面から声がかかるようになった。上場前の1987年、(一社)九州ニュービジネス協議会が立ち上げられた。長谷川氏は立ち上げ段階からコミットしており、その実績が認められて発足から副会長を務めた。

 同氏にとってこの組織の副会長ポストは経済界にアピールするステータスシンボルとなった。最終的には(公社)日本ニュービジネス協議会連合会会長に上り詰めた。しかし、このポスト1つに満足しないのが、長谷川氏の凄まじい貪欲さである(勢いがある時期は高い評価を受けていた)。
 その3年前、84年に地元福岡で育ち、福岡に基盤を持つ若手経営者、文化人の会「(一社)博多21の会」が結成された。長谷川氏は90年まで6年間、初代会長を務めた。同氏にとってこの「博多21の会」がもっとも使い勝手がよい団体であり、活用していた。この「博多21の会」の会長に就いたということは、よそ者の裕一氏が「福岡若手経営者を牽引する経営リーダー」という地位を確立したということだ。

パンアジア航空立ち上げ失敗で長谷川氏への非難轟々

 99年2月1日(月)の当社発行「I・B405号」の記事から引用しよう。

 昨年(1998年)は9月に国内定期航空路線では35年ぶりに新規参入となるスカイマークエアラインズが羽田=福岡線を就航、また12月には北海道の企業が中心になって立ち上げた北海道国際航空(エア・ドウ)が羽田=札幌(新千歳)に就航するなど、空港新時代の幕開けとなった。両航空会社とも既存大手の半額料金を実現、地元経済や人々の利便性に期待を受けながら、順調な滑り出しをみせているようだ。

 そして、これらに続くべく現在準備を進めているのが、福岡を拠点に、アジアへの新しい“道”を築かんとするパンアジア航空(株)である。「アジアのゲートウェー」と謳われて久しい福岡・九州だが、経済、情報、文化、人的交流のすべてにおいて、ゲートウェーといえるほどの実質を成していない現状がある。九州主導型の航空路線ができることは、その意味でおおいに期待されるのは間違いないであろう。

 ところが地元の反応は思いのほか鈍く、資金集めは難航、当初の就航予定(1994年4月)が2000年春に延期になるほど課題が持ち上がってきている。はたして、パンアジア航空は真に九州とアジアを結ぶ基幹路線となり得るのであろうか(以上転載)。

 「20年前の旅客数はその程度のものか」とコロナ襲来前(今年2月までの活況を呈していた旅客数)と比較すると隔世の感がする。

我は逃げる

 余談はここまでにする。このパンアジア航空の資金集めに裕一氏が先陣を切る。「博多21の会」も世論誘導キャンペーン役に使われた。故人となった石村善悟氏((株)石村萬盛堂前社長・同会2代目会長)も「初代会長の要請であるから断れない」と零していた。押しの一手の強さが身上の同氏は各方面に打診した。北九州経済界に対しても、ゼンリンの大迫忍オーナー(故人)経由で資金を無心したようである。

 ところが長谷川氏は突然、豹変する。自身が出資した資金の回収を行ったことが公然となった。そこから非難轟々となる。もっとも激しく批判したのは大迫氏である。「人を利用するだけ利用してふざけた奴だ」というお気持ちであっただろう。そのお気持ちはわかるが、はせがわの資金繰りの実情を理解していなかったため、怒るしかない。

 前回にも指摘した通り、長谷川氏が海外ビジネス失敗の処理で大わらわであったことを知っていたならば、「自社の厳しい資金繰りの現実から目を逸らして航空会社設立の旗振りをするとは可笑しいのでないか」と憐れんだ発言をしていただろう。長谷川氏にとって2000年は、すでに述べた通り、経営者としての転落の始まりであるともに、経済界での信用喪失が重なり、致命的な二重の不幸を背負うこととなった。21世紀新世代の1年目で躓いたのである。「博多21の会」には、21世紀を担うという意味が込められていなかったのであろうか。

(つづく)

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