何が変わるのか?大阪市・水道管路更新コンセッション(前)
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2020年08月13日 07:00

何が変わるのか?大阪市・水道管路更新コンセッション(前)

 大阪市水道局は、配水管の耐震化促進のため、2018年12月に成立した改正水道法に基づく「コンセッション方式()」による管路更新(耐震管への取替え)事業を進めている。コンセッション化は、水道料金値上げを避けながら、管路更新ペースを倍化させるのが主な狙いで、約1,800kmの管路更新を約15年間で達成したい考えだ。

 施工計画策定、設計、発注、施工、施工監理という、管路更新に関する市の業務全般を民間事業者に譲渡。市は、民間事業者をモニタリングする部署を新たに設置し、各業務フローなどの不正不良などをチェックする。市は20年4月にコンセッション化に関する実施方針を公表。21年に事業者の選定などを行い、22年4月に事業開始する予定だ。大阪市はなぜ、管路更新事業のコンセッション化に踏み切ったのか。コンセッション化によって、管路更新事業はどう変わるのか。

※コンセッション方式:許可制運営権制度。事業権譲渡などともいわれる。水道施設の所有権は自治体のまま、公共施設運営権を民間事業者に設定する方式。根拠法はPFI法、水道法。施設の所有権が移転しないので、いわゆる「民営化」には当たらないとされる。^

大阪市の水道管延長の推移(大阪市水道局資料より)

老朽管率は全国トップ

 大阪市の水道創設は1895年。125年間にわたって整備してきた配水管は、総延長約5,200km(以下、管路に関するすべてのデータは18年度末時点)に上る。このうち、敷設から40年が経過した老朽管は約45%(約2,300km)。全国平均の14.8%や、大都市平均の約16%と比べると、3倍近い数字だ。これは、40年前までに市内の水道管路網の大半が敷設完了していたことと、老朽化した管路の多くが取り替えられることもなく、そのまま残っていることを示している。それにしても、1995年の阪神淡路大震災を教訓に、厚生労働省の旗振りの下、大阪市を始め、全国の水道事業体が水道管路の耐震化に取り組んできたことを考えると、大阪市の老朽管率の高さは異常だ。

 大阪市のこれまでの管路更新ペースは年間70km程度、工事件数では年120件程度で推移している。2,300kmを毎年70km更新すると、33年かかる。ただ更新する間に、新たな老朽管が発生する。その数、今後20年間で約1,500km。つまり、20年かけて約1,400kmの管路を更新する一方で、約1,500kmの老朽管が発生するわけで、減るどころかむしろ増える計算になる。

 老朽化より遅いペースで管路更新の計画を立てることに対して「なんでやねん」とツッコみたくなるが、管路更新ペースが上がらない(上げられない)のには相応の理由がある。まず、予算上の制限だ。水道事業は企業会計のため、独立採算。民間企業のように利益を上げる必要はないが、赤字を垂れ流すわけにもいかず、収支均衡が基本だ。管路更新のために出せるコストは、水道料金などによる収入の一部に限定させざるを得ないわけだ。

 また、管路更新しても、基本的に料金収入は増えないというのもネックとなっている。水道拡張の時代であれば、水道管を新設すればその分料金収入が増えた。そもそも水道管の接続は水道事業者の義務なので、新規投資に四の五のいわれる余地はなかった。ところが、管路更新はすべてコストとして経営に跳ね返ってくる。水道業界的にも、40年経過したからといって、すぐ壊れるというわけでもないし、断水すると影響の大きい基幹管路は優先的に耐震化すべきだが、枝葉の管路については「影響は限定的であるし、当面は収支を見ながら、ボチボチ更新していきましょう」というマインドが支配的だ。

(つづく)

【大石 恭正】

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