注目度が増してきた米半導体企業エヌビディア(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
コロナ禍でも成長を続けている「エヌビディア」(NVIDIA)という米国半導体企業を知っているだろうか。エヌビディアは米半導体企業の「王者」であったインテルを追い抜いて、時価総額1位となっただけでなく、将来においてももっとも有望だと見られる半導体企業でもある。今回は同社の動向に注目する。
データセンター、人工知能、自動走行車などのGPUを開発
「エヌビディア」はインタネットが本格的に普及する以前の1993年、米半導体製造会社のAMD(アドバンスド・マイクロ・デバイシズ)を辞職したジェンスン・フアン氏(現・最高経営責任者)によって設立された。
「エヌビディア」は、パソコンの頭脳に当たるCPU開発ではインテルという手ごわい競争相手がいたため、画像処理に特化したGPU開発に挑んだ。GPUは「Graphics Processing Unit」の略で、画像の描画を行う際に計算処理を行う半導体チップを指す。CPUはコンピューターの頭脳に相当し、複雑な演算処理に適している一方で、GPUは数千個単位で並列処理する能力があるため、膨大な計算処理を要する分野に適している。GPUはAI分野で注目されており、上記の特徴を生かしたGPUサーバーも開発されている。
さらに今では、GPUの需要は画像処理だけでなくデータセンター、人工知能、自動走行車などに拡大しており、「エヌビディア」の存在感はますます高まっている。もし「エヌビディア」が、ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンク)が売却を検討しているARMの買収に成功したら、長年の夢が叶ってCPU事業も営むことが可能になり、もっとも有力な総合半導体企業となるだろう。
時価総額がインテルを上回り、米半導体企業の首位に
「エヌビディア」は従来からゲーマーの間では有名であったが、一般人にはあまり知られていない会社だった。ところが、2016年の仮想通貨マイニングブームで、「エヌビディア」のGPUは飛ぶように売れ、これは会社が成長する1つのきっかけとなった。しかし、このブームはそれほど長く続かず、翌18年には仮想通貨の価格は暴落した。
GPUは、膨大な計算処理を必要とする3Dグラフィックスのための高い演算性能から、画像処理以外にも用途が拡大した。1つめは、コロナ禍によるリモートワークや外出を控えて家でゲームを楽しむ人が増えたことにより需要が増加しているデータセンターである。
2つめは近年、急速に需要が高まっているAI分野の「機械学習」と「ディープラーニング」である。大量のデータをコンピューターに入力して特徴を探す「機械学習」と、膨大なデータを基に、膨大な計算処理を行う「ディープラーニング」には、CPUの代わりにGPUを搭載した「GPUサーバー」が活用されている。
画像処理以外でも需要が拡大したことにより、「エヌビディア」の株価は上昇を続け、時価総額は8月8日、2,746億5,900万ドルと、インテルの2,093億3,300万ドルを初めて上回り、米半導体企業の首位になった。
「エヌビディア」の技術は、自動運転のためには欠かせない。また、動画から状況を把握するために必要な計算処理には「エヌビディア」のGPU技術が最有力視されているため、今後AIや自動運転が普及するほど「エヌビディア」の業績も伸びることが予想されている。株価は先行「指数」といわれているおり、同社の将来性の高さを反映しているのだろう。
(つづく)
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