2024年04月25日( 木 )

【抗ウイルス物質松かさリグニン(2)】インフルエンザに対する驚くべき効果~サイトカインストームも防ぐ(1)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

アトピアクリニック院長 稲葉 葉一 氏

 DEVNET INTERNATIONAL ASSOCIATIONより、極めて強い抗ウイルス作用を持つ物質「松かさリグニン」に関する稲葉氏の論考を提供していただいたので、掲載する。


予防の主役「IgA抗体」

アトピアクリニック院長 稲葉 葉一 氏

 外敵の侵入を防ごうと働く粘膜免疫ですが、粘膜面では主体的に活躍している免疫物質があります。この免疫物質は「IgA抗体(以下、IgA)」で免疫グロブリンとも呼ばれ、侵入してきた病原体と結合して病原体を無力化するように働きます。IgAは、特定のウイルスや細菌のみに反応するのではなく、さまざまな種類の病原体に反応するという守備範囲の広さが特徴です。このIgAは多くの感染症の予防に関係していると考えられています。たとえば、唾液中のIgAの値が低いと、風邪にかかり易くなるというデータもあります(Med Sci Sports Exerc.;40,1228-36,2008)。

 この免疫物質を動物性IgAと呼ぶならば、植物にも同様の働きをする物質があります。その代表的なものが、緑茶に含まれるカテキンやブドウの色素であるアントシアニンなどのポリフェノールで、故長谷川秀夫先生はそれらを「植物性IgA(※1)」と名付けて論文に発表されていました。植物性IgAの特徴は、動物性IgAよりもさらに守備範囲が広く、ほとんどの病原体に反応することです。

 植物性IgAのポリフェノールのなかでも抗ウイルス作用がもっとも強力な物質が、松かさ由来のリグニン(Lignin)なのです。その抗ウイルス作用は、エイズウイルスに対してはカテキンの100倍という驚くべき研究データがあります。

 この松かさリグニンは、太古の昔から健康維持のためにお茶として飲まれていました。このことを最初に発表したのは、明海大学歯学部薬学教授の坂上宏氏です。その後、松かさリグニンの研究は多くの方に受け継がれましたが、なぜか世間の注目を浴びることはほとんどありませんでした。

 私は坂上先生や故長谷川先生と協力して、実際の患者に対する効果の有無を調べる臨床試験を担当してさまざまな有効データを得て、子宮頸がんとエイズの治療薬に関する特許を連名で出しました。

 松かさリグニンのインフルエンザへの効果に関する論文は多数あり、臨床効果も確認しています。今回の新型コロナウイルス(COVID-19)に関する直接の研究データはないのですがが(※2)、植物性IgAの特徴であるほとんどの病原体に反応する点、効果が確認できているインフルエンザウイルスとCOVID-19は同じ仲間のRNAウイルスである点からなど考えて、我々研究者は「効果があるはず」と推定しています。

※1:植物性IgA
 通常のIgA抗体に対して同様の働きをする植物由来成分を指す。カテキンやアントシアニンなどポリフェノール類がその代表。^

※2
 いくつかの大学に基礎研究を依頼しましたが、ウイルス自体をもっていないという理由でまだ研究できていません。^

(つづく)

(1)
(2)-(2)

関連記事