2022年08月15日( 月 )
by データ・マックス

市民に喜ばれる運動公園へ~糸島の地形を生かしたデザイン

(株)アービカルネット 代表取締役 新田 裕司 氏

糸島の良さをそのままに

 ――今回、糸島市運動公園整備・管理運営事業に携わるきっかけは何だったのでしょうか。

 新田 メインアリーナ、サブアリーナなどの運動施設に関しては、主に(株)梓設計・九州支社が設計を手がけられ、当社は主に運動公園のランドスケープを担当します。公園に代表される緑地空間の設計を一定水準以上で行う場合、技術士などの資格に加えて、相応の実績が求められます。梓設計の方でこうした条件を満たす建築設計事務所を探されるなかで、当社のことを紹介してくださった企業があり、同事業に参加することになりました。

 ――御社はこれまで「博多駅前広場」や「アイランドシティ・グリーンベルト基本計画」などのランドスケープを通じて、さまざまなエリアのまちづくりに携わってきましたが、糸島での仕事は初めてになります。

 新田 糸島に対しては、農業や漁業が盛んな「自然豊かなエリア」というイメージがあります。運動公園のデザインについては、糸島の魅力であるこの点を、市民の皆さんを始めとする利用者がしっかりと感じられるものにしたいですね。

 たとえば、計画地の雷山運動広場およびその周辺エリアは、平坦な地形ではありません。高低差があり、整備のしやすさだけを考えるなら、一度まっさらな状態にして一からつくるという手法が最適です。しかし、私はこの高低差を含めた元の地形をできるかぎり壊さずに、自然に近いかたちで生かすデザインを考えています。

 また、計画地には現在一列に並んだ樹林があるのですが、非常に目立つ存在ですので、この樹林もそのままデザインに生かしていきます。既存の地形や樹林を残すことで、周囲の景観と調和するようなデザインが可能になるのです。

市民に喜んでもらえる公園に

 ――運動公園のデザインを手がけられるなかで、一番大切なことは何だと考えられますか。

 新田 スポーツを楽しみたい方は、運動場やアリーナで体を動かし、ゆったりと過ごしたい方は芝生の広場で楽しむことができます。「スポーツゾーン」と「憩いのゾーン」とが分かれており、利用者が使いやすいように設計されています。

 利用者目線、そして先に述べた通り、元の地形や樹林をなるべく生かした周囲の景観との調和。こうした多方面からのアプローチがデザインにおいて大切だと考えています。もちろんそれは簡単なことではありません。

 計画地にしろ建築物にしろ、大きさは決まっているので、その枠内でイメージを具現化させるためには創意工夫が必要です。一度まっさらな状態にしてそのうえに組み立てていくのが楽というのはわかるのですが、それは「どこでもできてしまう」ということです。私は「ここでないとできない」というものを残していきたいと考えています。

 ――最後に、糸島市運動公園がどのような公園になってほしいと期待されますか。

 新田 老若男女、あらゆる世代・世帯にとって使いやすい公園になってほしいですね。また、アリーナ・サブアリーナ、運動場・公園のどちらか一方ではなく、屋内外どちらも一体的に利用してもらえると嬉しいです。全国的に見ても、これだけの規模で公園の新設を行うことは珍しくなってきています。だからこそ、市民の皆さんを始めとする利用者の方々に、喜んでもらえる公園になることを期待しています。

【代 源太朗】

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