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2020年10月20日 07:00

【凡学一生の優しい法律学】日本学術会議委員任命拒否事件(6)番外編(後)

橋下氏の勝ち誇った「暴論」

 橋下氏は、前回記事で取り上げた宇都宮氏の見解の変更について、「かなり恥ずかしい議論をしていたが、流石に見解を変えたね」と投稿した。宇都宮氏は当初、総理大臣の任命権は形式的なものであると主張していたが、それを撤回し、「任命権はあるが任命拒否権はない」という主張に変えたのだ。これは総理大臣の任命拒否が違法であることを説明するために、法的な論理構成を変更したものである。その意味では見解を変えたものではなく、もちろん結論を変えたものでもない。

 宇都宮氏は当初、法令上の任命権者とされても実質的には形式的である天皇の国事行為における任命行為の例を挙げ、日本学術会議法で定める総理大臣の「任命する」という文言から認められる任命権は形式的なものであると主張したものだが、どこが「かなり恥ずかしい議論」なのだろうか。

 この宇都宮氏の指摘に対して橋下氏は「民主的統制」というマジックワードを持ち出して、「総理大臣の学術会議に対する民主的統制の必要があるため、総理大臣の任命権は形式的なものではない」との論理を展開した。筆者はこの橋下氏の論理こそが暴論で、「かなり恥ずかしい」どころか「非常に恥ずかしい」論理であると考える。なぜなら、橋下氏は総理大臣の任命権の本質を「民主的統制」という概念で説明したが、これは完全に誤った議論であるためだ。総理大臣の誰もが知っている国務大臣の任命権について、どこに「民主的統制」の機序が存在するのか。まったくのご都合主義の理論であることは明白である。

 一般的な任命権の本質は、権限の委任である。権限者が権限を委任して、その者に権限を執行させるための法的地位を与える行為を任命「任に命ずる」というのである。従って、実質的に権限を行使する地位をすでに取得した者に対する任命は「形式的」なものとなる。つまり法令上の「任命する」行為には実質的なものと形式的なものがあり、それはその任命によって権限を行使する地位に着くか、すでに別の選定手続で権限を行使する地位についているかによって判断される。「民主的統制」という用語を都合よく用いる論理が独善、独断であることは明白であり、恥多き論理である。

(了)

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