2024年03月29日( 金 )

ザ・キャピトルホテル 東急が「5つ星」獲得~アフターコロナにラグジュアリーホテルのあるべき姿とは(後)

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 東急グループのフラッグシップホテルである、「ザ・キャピトルホテル 東急」(東京都千代田区/以下、キャピトル)は、フォーブス・トラベルガイドのホテル部門格付けで最高評価の5つ星を獲得した。2020年はキャピトルのリニューアル開業から10周年。節目の年に大きな花を添える快挙だといえる。
 ところが、世界的には今年は新型コロナウィルスが猛威を振るった凶年でもある。5つ星獲得をどう受け止めているのか。コロナによるホテル経営への影響、対策にはどのようなものがあるのか。アフターコロナ時代のホテル業界はどうなるのか。キャピトルの総支配人・末吉孝弘氏に話を聞いた。

解雇か廃業か迫られる都内ホテル

 ――東京都内のホテルマーケットは今どんな感じですか。

 末吉 都内の他のホテルの総支配人の方々と話をすると、「コロナ禍をどう生き残るかで精一杯」という印象をもちます。とくに、ホテル業単体の事業者は相当大変だと想像します。親会社や金融機関から、財政的な支援を得られないホテル事業者のなかには、「半年もたない」ところも少なくないようです。財政的な支援を得られなくても、ホテル業以外にオフィス業などをやっているところは、そこを収入源に何とかホテル業をもちこたえているという話は聞きます。

 コロナ対策としての雇用助成金は対象期限が今年12月末ですが、これが終了してしまうと、それから先の人件費をどうしていくかが問題になってきます。そのときが来たら、従業員を解雇して何とか乗り切ろうとするのか、そこで廃業するのか、決断を迫られるホテル事業者は増えるだろうと思います。

 今年9月以降、それまで開業を延期していたホテルがいくつかオープンし始めています。ずっと開業を控え続けるわけにはいかないということで、アフターコロナに向け、開業しているのだと思いますが、新たなホテルの出現によって、日本人客という少ないパイの取り合いが生じています。インバウンド需要が回復しないと、東京のホテルマーケットは、客室の過剰供給状態という問題を抱え続けることになります。首都圏周辺のリゾート地にあるホテルは、8月以降お客さまがだいぶ戻りつつありますが、都内に関してはまだまだというのが現状です。

開業10周年に当たる2020年のテーマ「A-Decade-of-Luxury」のロゴ(書:中塚翠涛)

「旅行したい」は人間の性

 ――以前の取材で「コロナ禍は短期的なもので、基本的なトレンドは変わらない」とおっしゃっていましたが…。

 末吉 今でもその考えです。過去から続く国の観光政策トレンドは変わらないと考えています。コロナ禍が収束すれば、観光業、ホテル業は回復すると確信しています。コロナによって、世界中の人々の間で、「人とリアルに接することの大事さ」が再認識されたと思っています。「旅行したい」というのは、やはり人間の性なのです。旅行先には、その土地やホテルなどといった肌で感じる独特の雰囲気、空気感というものがあります。今はコロナによって、一時的にそれが抑制されていますが、これは何年も続くことはないでしょう。

 以前、「観光業は将来的に日本の産業の中心になる」とも申し上げましたが、この考えも変わっていません。その証拠として、国は我々観光事業者を延命させるための一時的な措置をさまざまに講じているわけです。「Go To トラベルキャンペーン」は、あくまで観光業を潰さないための一時的なカンフル剤に過ぎませんが、イチ業態の一時的な支援措置として、1兆円を超える国費が投じられていることは、国が観光業こそ日本の国力を高める産業だと考えている証だからです。コロナ禍はいずれ必ず終息します。その暁には、私どもホテル事業者として、国の観光政策に報いるべく、一気に収益を上げていく考えでいます。

(了)

【大石 恭正】

<HOTEL INFORMATION>
ザ・キャピトルホテル 東急
所在地:東京都千代田区永田町2-10-3
TEL:03-3503-0109
URL:https://www.capitolhoteltokyu.com

(中)

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