開通に向けラストスパート 新阿蘇大橋(仮称)建設工事の進捗を追う(後)
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国土交通省九州地方整備局が、2021年3月ごろの開通に向けて急ピッチで進めている「新阿蘇大橋(仮称)」の建設工事。9月中旬、渡河部の橋桁がつながり、黒川をまたぐ橋の骨格ができあがった。
かつての阿蘇大橋は、16年4月の熊本地震により落橋。新たな阿蘇大橋の架橋は、震災からの復旧復興のシンボルとみなされており、地元住民の期待は高い。
渡河部の中央閉合を機に、阿蘇大橋工事の進捗などについて、工事を所管する同局熊本復興事務所の大榎謙所長に話を聞いた。施工業者に感謝
――非常にタイトな工事にも関わらず、予定通り工事を進めてきた大成JVに対して、どう評価していますか。
大榎 災害復旧事業にはスピード感が求められるため、発生段階からとくに工期短縮について提案を求めてきました。工事着手後の大成JVからいただいた提案も含め、さまざまな施工上の工夫を行っています。その1つが、黒川両岸へのインクラインの設置です。これにより、立野火口瀬の特徴である強風時でも、安定した資機材の搬出入が可能になりました。
また、橋脚の施工には、オートクライミング工法を採用しました。作業用足場と型枠を一体化して油圧ジャッキでクライミングする工法です。この工法採用により、工期短縮はもとより、高所での足場の組立・解体が不要となるため、安全な施工にも着手しています。
さらに上部工の張出架設には超大型移動作業車を使用しました。通常の作業車は200t-m程度ですが、今回の作業車は600t-mの張り出しに対応するワーゲンです。これによって、張出ブロック数を全体で78ブロックから54ブロックに減らすことで、施工日数の短縮を図っています。
大成JVでは、社を挙げた安全管理に取り組んでいただいたこともあり、厳しい施工条件にもかかわらず、また、万全のコロナ対策を講じたうえで、工程に支障なく工事を進めていただいていることに感謝しています。
――開通に向けた意気込みを。
大榎 当事務所は、熊本地震で深刻な被害を受けた阿蘇地域における大規模斜面崩壊箇所の対策や、幹線道路の災害復旧事業などを担っています。着任当初より、地域の方々の温かい激励のお言葉や早期完成にかかる期待の声をいただいてきました。
これは発災当初より復旧復興に尽力いただいた多くの方々が積み上げてきた“信頼”に基づくものであり、事務所職員一同、責任の重さとやりがいをヒシヒシと感じながら業務を遂行しているところです。阿蘇地域の災害復旧事業は、大詰めの段階に入っています。引き続き事務所職員、関係自治体、そして工事、業務関係企業の方々と一体となって、各事業の推進に努めていきます。
(了)
【大石 恭正】
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