2022年06月27日( 月 )
by データ・マックス

中心市街地の活性化策がカギ 鍋島藩のDNAを受け継ぐ県都・佐賀市(後)

中心部での整備が進む

 全市的な都市計画マスタープランが進行する一方で、中心部ではいくつかの整備計画が進められている。

JR佐賀駅・南口駅前広場
JR佐賀駅・南口駅前広場

 その1つが、「佐賀駅周辺整備基本計画」だ。同計画は、佐賀駅の高架化移転事業から40年以上が経過し、駅周辺地区で業務系施設や集合住宅の立地が進むなどの大きな変化が生じたことを受けて、変化に対応しながらまちづくりを円滑に進めるために「佐賀駅周辺整備構想」(17年3月策定)に基づき、駅前広場や周辺道路の整備を進めていくもの。まず、南口駅前広場では、タクシーと一般車の動線を分離して車両出入口を西口に集約させるなど交通結節機能を向上させるとともに、周辺施設や街中への連続性をもち賑わいを生む広場空間を整備。

 また、北口駅前広場では、佐賀県が整備を進めている「SAGAサンライズパーク(佐賀県総合運動場等)」へ向かう起点として円滑な移動を促す誘導機能を備えるとともに、現在の変則交差点を解消して交差点のスクランブル化を検討するなど、混雑緩和を図っていく。さらに、SAGAサンライズパークに向かう駅北口の「市道三溝線」は、現状の片側2車線を片側1車線に減らす一方で、歩道空間を拡幅するなど限られた幅員のなかで道路空間を再配分し、新たなシンボルロードを目指していくとしている。

 現在、北口駅前広場と市道三溝線の整備が先行して進み、21年度からは南口駅前広場の整備がスタート。22年度のSAGAサンライズパークの開業予定に合わせて、整備を完了させる目標だ。

整備工事が進む「SAGAサンライズパーク」
整備工事が進む「SAGAサンライズパーク」
中心市街地活性化エリア
中心市街地活性化エリア

 また、佐賀駅周辺を含めた中心市街地174haにおいて、その活性化に向けた取り組みも進められている。「中心市街地活性化基本計画」(05年1月策定、09年3月改訂)では「佐賀駅周辺エリア」「中央大通りエリア」「4核構想エリア」の3つの重点エリアを設定。なかでも、築年数が経過したビルが更新されずに多数存在し、沿道で空き家・空き店舗や空地が増加傾向にあった中央大通りエリアについては、15年3月に「佐賀市中央大通り再生計画」を策定。基礎調査やニーズ調査を経て、魅力ある土地利用方針の立案と民間投資の喚起策の策定などによる賑わい創出および都市再生に向けて、計画を進めている。

 ほかに、市の南部エリアでは地域高規格道路「有明海沿岸道路」の整備も進んでいる。現在、筑後川の対岸に位置する福岡県大川市からの延伸整備が進んでおり、開通の暁には福岡県南部の有明海沿岸エリアとの交流促進により、佐賀市の活性化につながる効果も期待できる。

 だが、県都・佐賀市全域の活性化に向けては、まずは鍋島藩の歴史を受け継ぐ中心市街地の賑わいを再生させ、そこを起点に交流軸を通じて各ゾーンに賑わいおよび人の流れを波及させていく都市計画マスタープランの将来構想の実現が近道だろう。佐賀市の将来のカギは、中心市街地活性化策の行方が握っているといっても過言ではない。

(了)

【坂田 憲治】

(中)

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、建設・不動産業界に関すること、再開発に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

記事の企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。

現在、業界に身を置いている方や趣味で建築、土木、設計、再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募はこちら(nagaue@data-max.co.jp)まで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連キーワード

関連記事