2024年04月25日( 木 )

継続的にイノベーションを創出する 国際都市「FUKUOKA」実現に向けて

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「国際金融機能誘致TEAM-FUKUOKA」第2回幹事会(12月4日開催)の様子
「国際金融機能誘致TEAM-FUKUOKA」第2回幹事会(12月4日開催)の様子

産学官の特性を生かし“オール福岡”で推進

 福岡への国際金融機能の誘致に向けて、産学官がそれぞれの特性を生かしながら“オール福岡”で機運醸成などの環境づくりやプロモーション活動などを進めていくための推進組織「国際金融機能誘致TEAM FUKUOKA」が9月29日に設立された。

 TEAM FUKUOKAには(一社)九州経済連合会、国立大学法人九州大学、九州電力(株)、九州旅客鉄道(株)、(株)九電工、西部ガス(株)、(株)西日本シティ銀行、西日本鉄道(株)、(株)福岡銀行、福岡県、福岡市、福岡地所(株)、福岡証券取引所、福岡商工会議所などの地場を代表する企業や経済団体、大学、行政が参加。発起人は九州経済連合会・麻生泰会長と九州電力・池辺和弘社長、高島宗一郎・福岡市長の3名で、TEAM FUKUOKAの幹事会の会長には麻生氏が、副会長には高島市長と小川洋・福岡県知事がそれぞれ就任。事務局は福岡地域戦略推進協議会(FDC)が担う。

 国際金融機能の誘致に携わる多様な主体が、情報の共有・交換を進め、それぞれの特性を生かしながら取り組むことで、外資系金融機関や高度人材などの国際金融機能の誘致と新たな潮流であるFinTechなどの集積によって、地域経済の活性化を図っていくのが狙い。

 背景にあるのは、中国における国家安全維持法の施行などにより、国際金融センター・香港から人材や資金が流出する可能性が高まっていることだ。こうした国際情勢の変化を受けて、日本政府は2020年7月中旬以降、外資系金融機関や海外の金融人材の受け入れ拡大を目指すことを検討。東京、大阪、福岡の3都市を競わせたうえで、国際金融拠点を整備していく方針だ。

 福岡においては、市が進める再開発プロジェクト「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」により、都心部においてハイクオリティなオフィス環境が整備されようとしている。また、19年には「G20福岡 財務大臣・中央銀行総裁会議」が開催されたほか、これまでにスタートアップ都市として知識創造型産業の集積を推進してきており、FinTechに親和性の高い環境を整えている。こうした福岡に、外資系金融機関・人材の有する経営管理上のノウハウや技術、情報などの優れた経営資源が加わることで、地域経済のより一層の活性化や生産性の向上、国際化に寄与することが期待されている。

左から江口勝・福岡県副知事、麻生泰・九州経済連合会会長、髙島宗一郎・福岡市長、池辺和弘・九州電力社長
左から江口勝・福岡県副知事、麻生泰・九州経済連合会会長、髙島宗一郎・福岡市長、池辺和弘・九州電力社長

国際金融機能誘致は次世代への最大の仕事

 12月4日に開催されたTEAM FUKUOKAの第2回幹事会では、国際金融機能誘致の方向性や課題についての話し合いがなされた。会の冒頭、麻生会長は
「香港が中国内でいろいろと揺れ動くなかで、日本の政府としてもぜひ金融機関を誘致しようということで、東京、大阪、福岡が今手を挙げているわけです。我々福岡は、サイズでは敵わないかもしれないけれど、このまとまりですよね。県がおられ、市がおられ、九電をはじめ経済界のトップが皆来てくださっている。このまとまりで“TEAM FUKUOKA”というものを築き上げていきたい、そう思います。大事なことは、我々現役が頑張って、次世代のため、あるいは日本のために、この福岡を非常に魅力のあるまちにして、国際都市へと変えていく――。福岡がそういう強みをもつようになれば、本当にこれからも発展していくまちになります。これは次世代への最大の仕事だと、そう思っています」
 と挨拶。国際金融機能誘致に向けての意気込みを、改めて示した。

 第2回幹事会では、国際経済・社会の情勢と福岡の現状を踏まえたうえで、福岡としての特色を生かした誘致策の方向性について話し合われた。福岡の優位性については、東アジアの各都市に近く、東京や大阪との同時被災リスクの低い日本海側の立地である点や、日本で唯一無二のスタートアップ都市である点、理工学系人材が豊富である点などにあると分析。そのうえで、資産運用会社やカストディ会社、FinTechなどの金融ベンチャー、事業のバックアップ拠点などを重点的に誘致する方向性で、合意を得たとしている。

 その一方で、英語対応専門の士業人材の不足や、福岡空港国際路線の機能強化の必要性、高度人材(外国人)に対応した居住環境の確保などの課題も複数挙げられている。今後は、今回固まった方向性に沿うかたちで、誘致に向けた実務レベルでの具体策を練っていく方針。具体的なスケジュールについては未定となっている。

 これまでスタートアップ都市として、イノベーションや付加価値を生み出す環境を整えてきた福岡。“オール福岡”で推し進める国際金融機能の誘致により、継続的にイノベーションを創出する国際都市「FUKUOKA」として次のステージへと飛躍できるか――。国内だけでなく、海外の他都市との競争に打ち勝つためにどのような手を打っていくか、その次なる一手に注目が集まっている。

TEAM FUKUOKAが対応すべき課題

【坂田 憲治】

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