2022年06月29日( 水 )
by データ・マックス

【博多コネクティッド2020】スタート2年目にコロナ禍直撃(前)

博多版“ビッグバン”

 2019年1月に始動が宣言された、福岡市の新たな再開発促進プロジェクト「博多コネクティッド」。博多駅から半径約500mの約80haを対象エリアに、容積率などの規制緩和や国の金融支援、税制優遇などによって、耐震性の高い先進的なビルへの建替えを促していくほか、交通基盤拡充などによって都市機能の向上を図っていこうというプロジェクトだ。

 建替え促進のためのインセンティブ「博多コネクティッドボーナス」では、つながり・広がりが生まれる広場の創出など、賑わいの拡大に寄与するビルに対して最大50%の容積率を緩和。また、通常は容積率の評価が低くなってしまう、高層部に床があるような屋根がかかっている広場や通路などの公開空地の評価も、屋根がない場合と同等の評価(最大2.5 倍)が適用される。これにより、ビル自体の床面積をしっかり確保しながらも、公開空地による賑わい創出に貢献できる制度としている。

 ビルの建替え目標は2028年末までに20棟で、市の試算では目標を達成した場合の10年間の建設投資効果が約2,600億円、建替え完了後には、年間約5,000億円の経済効果が見込まれるとしている。交通インフラ整備などの独自の取り組みも含まれているが、基本的には博多版“ビッグバン”といって差し支えないだろう。

解体進む西シ銀本店

 博多駅前・博多口側のランドマーク的存在だった「西日本シティ銀行本店ビル」が現在、博多コネクティッドを活用した建替えに向けて解体工事が進んでいる。

解体工事が進む「西日本シティ銀行本店」
解体工事が進む「西日本シティ銀行本店」

 外壁全面が茶褐色のインド砂岩で覆われた特徴的な外観の同本店ビルは、1971年11月に「福岡相互銀行本店」として竣工した地上12階・地下2階建てのビルで、世界的な建築家・磯崎新氏による設計として知られる。(株)西日本シティ銀行の本店営業部のほか、グループ会社などが入居していた。西日本シティ銀行では、同本店ビルのほかに、エリア内に所有している本店別館ビルと事務本部ビルも連鎖的に再開発する方針で、現在3棟に分かれている西日本シティ銀行としての機能を、新本店ビルへと集約していく。

 新本店ビルは、地上1階部分がにぎわい創出に寄与する商業フロアとなるほか、地上2階から9階部分が銀行スペースとなり、2階に銀行窓口が設置される予定。地下1階部分には博多駅地下街や開業予定の七隈線・博多駅ともつながる広場を整備することで、回遊性の向上にも寄与する。また、特徴的な本店ビルの意匠については、今回の3棟の連鎖的再開発のなかで、(株)磯崎新アトリエの助言を得ながら、一部を移設・保存していく予定。

 本店ビルの解体工事は20年7月から着手しており、解体後の新本店ビルの着工は22年7月ごろを予定。新本店ビルの竣工は25年2月ごろを目指している。また、本店別館ビルと事務本部ビルは、25年5月ごろから解体に着手。両ビルは銀行機能を新本店ビルへと移管することで、新たに商業施設やオフィス機能を備えた複合ビルへと建替えられる予定で、28年9月ごろの新ビル竣工を目指している。

(つづく)

【坂田 憲治】

(後)

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