2024年04月26日( 金 )

【博多コネクティッド2020】スタート2年目にコロナ禍直撃(後)

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筑紫口側2つの再開発

博多スターレーン跡地で進められる「(仮称)博多駅東一丁目開発」
博多スターレーン跡地で進められる「(仮称)博多駅東一丁目開発」

 19年3月に惜しまれつつ閉店したボウリング場「博多スターレーン」跡地では、解体工事を経て、20年7月から建替えに向けての工事が進められている。

 NTT都市開発(株)と大成建設(株)の2社による共同事業として進められている「(仮称)博多駅東一丁目計画」は、「博多コネクティッドボーナス」を適用し、地上10階・塔屋1階、延床面積約2万9,300m2のオフィスビル(一部店舗)を建設する計画。博多駅周辺地区最大級の基準階約2,200m2の無柱空間を有し、最小区画約132m2のフレキシブルな区画形成が可能で、鉄骨制震梁の採用による耐震性の高いオフィスを提供する。

 また、筑紫口中央通りとつながる敷地南側(建物前面)には約940m2の広場(公開空地)を整備し、周辺エリアの賑わいづくりと回遊性向上にも寄与する。新ビルの竣工は22年6月を予定している。

 一方、博多駅東1丁目の「福岡東総合庁舎」も建替えが予定されているものの、20年には目立った動きはなかった。

建替え予定の「福岡東総合庁舎」
建替え予定の「福岡東総合庁舎」

 同庁舎は、所有者である福岡県が定期借地方式により民間事業者に貸し出す方針で、公募型プロポーザルでJR九州を代表企業とし、ほかに福岡地所(株)、(株)麻生とで構成される企業グループが事業者に選定されている。借地料は年2億2,200万円で、定期借地権の設定期間は70年間。契約期間満了時には新施設の解体・撤去を行ったうえで敷地を県に返還する。

 同グループは福岡県の発展および博多駅東エリアの活性化につながるオフィスビルの開発を提案しており、地上11階・地下1階のオフィスビルは、1フロアを広く設計することで規模の大きいテナントなどにも対応するほか、にぎわい創出のための広場や福岡県産品を活用したカフェも併設する計画となっている。現建物の解体工事は21年4月から行われ、新施設建築は22年3月の着工を予定。24年春の新施設開業を目指している。

  

 今回取り上げた以外にも、博多駅前1丁目では大和ハウスグループの(株)コスモスイニシアによる9階建てオフィスビル開発の「(仮称)博多区博多駅前1丁目計画」や、博多駅中央街では(株)未来図建設による14階建てオフィスビル開発の「(仮称)博多駅中央街PROJECT新築工事」、筑紫口側の博多駅東1丁目では3棟のアパホテル新築工事などが進行。また、駅前4丁目の「HEARTSバスステーション博多」と博多駅とをつなぐ「博多駅前歩行者連絡橋」整備や、地下鉄七隈線延伸にともなう整備なども進んでいる。

 とはいえ、スタートからまだ2年、うち1年はコロナ禍の影響が直撃したこともあり、天神ビッグバンほどは目立った再開発の動きが感じられない印象だ。今回のコロナ禍によって、今後のオフィスやホテルへの需要減少も予想され、再開発の勢いにブレーキがかかることも懸念される。市では天神ビッグバンと同様に、感染症対応策などを盛り込んだ建替えビルに対して最大50%の容積率上乗せなどを行うとしているが、すでに複数のプロジェクトが動いている天神ビッグバンと違い、博多コネクティッドはまさに今から本格的に進もうとしていたプロジェクトだ。建替えを検討していた事業者でも、コロナ禍による需要の冷え込みを見越して、建替えを断念するケースも出てくるだろう。このまま失速してしまうのか、それとも、新たな施策で再加速できるのか――21年、博多コネクティッドは正念場を迎える。

(了)

【坂田 憲治】

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