2022年08月18日( 木 )
by データ・マックス

県民に寄り添いながらコロナ禍を乗り切る(後)

第70代福岡県議会議長 吉松 源昭 氏

昨年6月24日、第70代福岡県議会議長に須恵町出身の吉松源昭氏(52)が就任した。2003年の県議初当選以来4期16年にわたって県政若手リーダーの1人として、常に名前のあがっていた吉松氏。飾らない人柄から、地域住民だけでなく政界関係者で吉松議長を慕う者は多い。「県民に寄り添う」を政治信条とする吉松氏にコロナ禍など県政のさまざまな課題について聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)

実態に即した施策で事業者を支援

 ――企業経営者からみれば、感染の危険性だけでなく、大規模な自粛が続くことによる経済面への影響も無視できないですね。各種数字がそれを物語っていて、大幅な売上ダウンに苦しんでいる企業がほとんどです。21年初頭にも倒産ラッシュが始まるのではないかという予測もあります。

吉松 源昭 氏
吉松 源昭 氏

 吉松 県内の新型コロナウイルス関連倒産数は、民間調査機関によると11月2日時点で25件となっています。県としても、コロナ禍の収束が見通せないなかで、事業者は今後も厳しい経営環境に置かれるとみています。そのため、県では感染症の影響を受ける事業者に対する事業継続支援のため、複数の支援策を打ち出しました。

 1つは、県制度融資に創設した無利子・無担保の「新型コロナウイルス感染症対応資金」および、県が保証料を全額肩代わりする「緊急経済対策資金」の融資枠拡大などの資金繰り支援です。感染症対応資金の実績は、保証承諾件数が約3万4,000件(約5千300億円)、対策資金も約5,300件(約1千400億円)と、広く利用されています(いずれも11月9日時点)。

 また、昨年は県持続化緊急支援金の給付を行いましたが、昨年8月からは国の家賃支援給付金に県独自の給付率をかさ上げする「県家賃軽減支援金」の給付を行いました。これについては、申請内容に不備がない場合は1週間以内の給付を原則としています。

 ――感染を避けるために、テイクアウトやデリバリーを利用することも普通になりましたね。これも「ニューノーマル」(新しい日常)といえるかもしれません。

 吉松 コロナ禍においては、全国的にいわゆる「夜の町」で感染が広がったケースが複数みられました。アルコールが出される飲食店で感染の危険性が増すことも確認されているため、こうした場所での感染拡大防止にも取り組む必要があります。福岡県では、店舗や施設における感染防止の取り組みが徹底されていることを示す「感染防止ステッカー」制度を設けて、県民が安心して利用できるようにしています。

 飲食店が行うデリバリーやテイクアウトは感染防止策として有効ですので、そういった取り組みに対し、経営革新実行支援補助金による支援を行っています。福岡県ウェブ物産展では、楽天市場内に特設サイトを設置して、県産品を最大3割引きで販売し、第4弾キャンペーンまでに約14億円を売上げ、今後、第7弾キャンペーンまで実施する予定です。

 ――インバウンドの消滅などで大きな打撃を受けている観光業などへの手当は。

 吉松 宿泊事業者が行う感染防止対策へ支援を行うほか、国の「GoToトラベル」に先行して、宿泊料金やレンタカー代を助成する「福岡の魅力再発見キャンペーン」を実施しました。11月5日からは、「GoToトラベル」を補完・拡充する「福岡の避密の旅」キャンペーンをスタートさせ、県内観光需要の回復を図っています。コロナ禍による経済的な打撃を、どういった業界がどの程度影響を受けているのかなど具体的に詳細に把握しながら、有効な支援策を考えていきたいと思います。

少子高齢化の波は福岡県にも

 ――国内では大都市の繁栄ばかりが目立ち、地方が取り残される動きが加速するなか、福岡県は例外的に「元気のある自治体」として注目を集めています。とくに九州新幹線の開通以降、九州他県の若者たちが福岡に集中するなどして景気の良い話も多い。しかし、実態を良くみれば「福岡市」の繁栄による部分が大きく、県全体としては格差もみられます。急激に進む少子高齢化にどう対処しますか。

吉松 源昭 氏 吉松 経済活動はその担い手である労働力人口に左右されますので、少子高齢化の流れが続けば経済規模が縮小するのは当然の帰結になるでしょう。さらにいったん経済規模の縮小が始まれば、投資先としての魅力が低下することや経済活動の不活性化で成長力が低下し、それがさらに経済規模の縮小を招くという「縮小スパイラル」に陥る恐れがあります。

 また、少子高齢化は地域住民の生活に不可欠なサービスの維持や確保にも影響をおよぼします。具体的には廃校になる学校が増えたり介護人材が不足する、地域の交通手段がなくなる、税収減によるインフラ設備の老朽化など、その影響は徐々に顕在化していくでしょう。

 社会保障制度という視点でみても、現在の財政や制度を前提にするならば少子高齢化の進展は社会保障負担増につながり、現役の働き手世代の負担がさらに増えていくことになります。こうした負の連鎖はどこかで断ち切る必要があります。そのための手立てを、県議会としても広く県民の皆さまの声をいただきながら進めていきたいと思います。

(了)


<PROFILE>
吉松 源昭
(よしまつ・もとあき)
1968年糟屋郡須恵町生まれ。87年福岡大学附属大濠高校を卒業。88年司法書士事務所入所。92年に行政書士事務所を開業。96年衆議院議員秘書、2002年福岡県議会議員秘書を経て、03年に福岡県議会議員初当選。08年障がい者施設理事、更生保護施設理事。17年自由民主党福岡県支部連合会政務調査会長、県土整備委員会委員。

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