2022年06月27日( 月 )
by データ・マックス

厳しいときこそ、将来の発展の種を撒く、芽を育てる~2021年の福岡県の展望(後)

福岡県知事 小川 洋 氏

 新型コロナウイルスの感染拡大により、国の政策のみならず、地方自治体独自の対応策にも注目が集まった1年であった。「厳しいときこそ、将来の発展の種を撒く、芽を育てることが大事」と語る小川洋福岡県知事。今年はどのような取り組みを行い、福岡県を引っ張っていくのか。

 ――「感染防止」と「経済」の両立を図ってきたということですね。

感染防止宣言ステッカー
感染防止宣言ステッカー

 小川 社会全体で、感染防止を図りながら、社会経済活動のレベルを上げていくことを今後も基本としていきます。基本的な感染防止対策が重要となるため、施設・店舗には業種別ガイドラインに沿った感染防止対策を徹底し、「感染防止宣言ステッカー」を掲示していただくようお願いしています。飲食店については、ステッカーを掲示する店舗の支援として、マスク、消毒液等の消耗品の購入に対する助成を行っており、さらに接待をともなう飲食店については、空気清浄機、サーキュレーター等の備品購入に対する助成を2月末まで行っています。ステッカーの掲示とともに活用して、しっかり感染防止対策を講じていただきたいと思います。また、県民の皆さまには、店を利用する際にはステッカー掲示店を選んでいただくようお願いします。

厳しいときこそ、将来の発展の種を撒く、芽を育てる

 ――21年はどのようなことに力を入れていきますか。

 小川 福岡県の景気は依然として厳しい状況にありますが、持ち直しの動きが見られます。新型コロナと災害からの復旧・復興を着実に進めるとともに、一日も早く地域経済を立直していきます。

福岡県知事 小川 洋 氏
福岡県知事 小川 洋 氏

 ポストコロナを見据え、また、こうした厳しいときこそ、将来の発展の種を撒く、芽を育てることが大事です。県には、超小型人工衛星「イザナギ」の打ち上げに成功したQPS研究所をはじめ、宇宙ビジネスに挑戦するものづくり企業、ITスタートアップ企業が集積し、大学などの研究機関も充実しています。こうした本県のポテンシャルが高く評価され、20年9月、国から「宇宙ビジネス創出推進自治体」に選定されました。

 また、県には国内を代表するブロックチェーン企業をはじめ、優秀な技術をもった企業が集積しており、その研究をリードする大学があります。加えて、県と共同で新型コロナウイルス治療薬の開発を行っている(株)ボナックなどのバイオベンチャーも集積しています。こうした本県発の新しいビジネスの創出に力を入れていきます。

 ――コロナ禍で大都市一極集中のリスクを回避する動きもありますね。

 小川 はい。そのための人と企業の新たな受け皿づくりを進めていきたいと考えています。頻発し激甚化する自然災害とコロナ禍によって、人々の地方への移住の関心が高まっており、県の移住相談窓口「ふくおかよかとこ移住相談センター」が受けた相談件数は、直近で昨年比約1.7倍となりました。新たな人の流れの受け皿になれるよう、移住・定住を推進していきます。

 企業活動においても、サプライチェーンの維持に向けた生産の国内復帰、テレワークの普及による都心オフィスの削減、本社や研究開発機能を分散する動きが出てきています。このような動きを捉え、充実した交通インフラ、住みやすく子育てしやすい住環境、理工系をはじめとする優秀な人材など、県の優れた立地環境をこれまで以上にPRし、積極的に企業誘致していきたいと思います。

 国際的な受け皿になるという観点から、20年9月に国際金融機能の誘致に向け、産学官によるオール福岡の推進組織「TEAM FUKUOKA」を発足しました。関係者一体となって福岡県が持つ強みを最大限発揮し、チャレンジしていきます。

 また、コロナ禍で人と動物の共通感染症への対応が世界的な課題として注目されています。県ではワンヘルスの理念に立った取り組みを進め、その拠点の早期整備を目指していきたいと思います。

TEAM FUKUOKA 設立総会
TEAM FUKUOKA 設立総会

 ――新型コロナの収束の見通しがはっきりしない状況ですが、コロナおよび現在の生活様式はどのくらい長期化すると想定していますか。

 小川 安全性や有効性がたしかなワクチンや治療薬が開発されるまで、コロナと向き合っていかざるを得ません。県民の皆さまには、「人にうつさない」「人からうつされない」「自分自身が感染しているかもしれない」という意識を常にもちながら、マスク、手洗い、身体的距離、三密の回避といった「新しい生活様式」を実践していただくこと、事業者の皆さまには、業種別ガイドラインの順守など、徹底した感染防止対策を確実に講じていただくことをお願いしたいと思います。

 とくに冬場は季節性のインフルエンザの流行など感染症が拡大しやすく、年末年始に向けて人の動きも活発になります。従来からの感染防止対策に加え、適切な換気と適度な保湿など、冬の感染防止に努めてもらいたいと思います。

 ――最後に県民へのメッセージをお願いします。

 小川 今年は、いよいよ、東京オリンピック・パラリンピックの開催です。5月に県内で行われる聖火リレーでも、県全体を盛り上げていきます。

 また、10月、北九州市で同時期、同一都市で史上初めて体操、新体操の世界選手権大会が開催されます。来県される選手の皆さんが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、しっかりサポートするとともに、福岡県の魅力を国内外にPRする機会にしてまいります。

2021年世界体操・新体操選手権の北九州開催決定に関する会見
2021年世界体操・新体操選手権の北九州開催決定に関する会見

(了)

【茅野 雅弘】


<PROFILE>
小川 洋
(おがわ・ひろし)
1949年5月17日生まれ。福岡市出身。福岡県立修猷館高校卒。京都大学法学部卒。73年、通商産業省に入省。内閣官房内閣審議官、経済産業省産業技術環境局長、特許庁長官、内閣官房知的財産戦略推進事務局長、同内閣広報官を歴任。2011年4月の福岡県知事選で初当選。19年4月、3選をはたした。趣味は読書、スポーツ観戦、音楽鑑賞。

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